* 寂しさ流した嬉し涙 *












 君の誕生日は

 ちょっと嬉しくて

 ちょっと寂しい




「ハッピーバースデー!」



いつも朝が早い君より

ずっとずっと早起きして

ずっとずっと見張ってた。


待ち伏せしてる間は

何百回もあくびが出たけど

顔を見た瞬間に

眠気も吹き飛んじゃうから

フシギ。



「英二…随分早いんだな」

「一番にお祝いしたかったもん」



もう一度云うため、息を思い切り吸う。


大声を出すことを予測して

君は少し身構えだけど

僕の口から出たのは小さな声。




「お誕生日おめでと、大石」




 君の誕生日は

 ちょっと嬉しくて

 ちょっと寂しい




「……英二?」

「ん、にゃに?」



いつものように笑顔を向けたのに

君は心配そうな顔をする。


「元気無い?」

「そんなことないよ!折角の誕生日なのに、なんで…っ」


言いながら喉が詰まりそうになるのを感じた。

奥から込み上げてくるものを堪えられそうに無い。




 君の誕生日は

   君が僕より先に進む日


 大切な日だから

   ちょっと嬉しくて


 置いていかれてしまったようで

   ちょっと寂しい




「な、なんだろ…へへっ。ヘンなの」



ごまかし気味に微笑して

零れてきたものを指で拭おうとしたら。



『ペロッ』

「にゃ!?」



頬を押さえた。


君は笑う。



「プレゼント」

「にゃ…んだよそれー!」



オレがあげなきゃいけないのに!


そう言ったら君は

「いただきましたごちそうさま」だって。



だから これは

寂しくて流す涙じゃなくて

嬉し涙。



 君の誕生日は

 ちょっと嬉しくて

 ちょっと寂しい


 そして とっても楽しい、そんな日。






















英二にとって大石の誕生日ってどんなものなんだろう、と。
とにかく嬉しい!!っていうのもありなんですけど、
ちょっと寂しさ感じててもいいんじゃないかなと。

大石…ちょっとくらい黒くたってい〜じょんっ!

つまりは大石お誕生日おめでとう!ってことです。
大石生誕記念サイト『だいすき』様に捧げます*


2004/04/30