* 最後まで分からなかった君に。 *












「好きだよ」。


一回目は嬉しかった。

告白されるなんて、滅多にあることじゃないし。


だけど、私は別に好きでもなかったし。

あんまり乗り気じゃなかった。

だから、「ごめんなさい」って言った。

理由とかは特に訊かれなかった。




数日後、またやってきた。

腕を引っ張って「付き合おうよ」。

気は変わってなかったから、もう一度「ごめん」って伝えた。




それでもまた翌日、呼び出されて。

「どうして付き合ってくれないの」。

これほどに、常識のない人も珍しいと思った。


こんな最悪な人と 付き合いたいと思うわけがない。


私はそう思っていた。



私は付き合う気がない。

だから断ったの。

そう強くぶつけた。


私、謝らなかった。



向こうは眉を下がり気味にした。

私が前にそうしたように。

「ごめん」と小さく呟いた。



背中を見せた。

数歩進むと振り返って。

「もう、こんなことしないから」。



思わず、腕を伸ばしそうになった自分に嫌悪した。




 来るものは拒むくせに

 去るものを追おうとする。


 私ってそんな最悪なやつだと思った。




だけど悪いのは向こうだから仕方がないと思った。

私は悪くないから謝る理由はないと思った。


それでも、もう顔を見ることが出来ないのかと思うと何故か切なかった。






















菊はそんなに悪い子じゃないと思います。
でも一番ワガママそうなの引っ張ってきたら
この子になっちゃったっていう話。
補足を言うなら一番ワガママなのは主人公。

別に主人公は菊のこと好きになったわけじゃないです。
しかし、菊が精神的に成長して帰ってきたら
温かく受け入れてほしいものですな。きっと上手くいきます。

怒ってるわけじゃないんです。
改めてくれるのを待ってるだけなんです。
必要なのは間を置いて冷静になることだったんです。
それに気付いてほしかったんです。
去ってほしかったわけでは、ないんです。


2004/04/05