* 煙草雲 *












今日も亜久津は、授業を抜け出している。

校庭の一角でで煙草を吹かしては、物思いにふける。


胸糞ワリィほどいい天気だ、

亜久津はそう思った。



雲一つない空。

そこに、自分の口から出て行く煙が白い塊を形作る。

それも暫くすると消え、また青空が見える。


右手に掴んだ煙草をまた、口元へ運んだ。

その時。



「亜久津仁!」



女子学級委員のだった。

とはいえ、亜久津はクラスメイトの顔や名前なんて憶えちゃいないのだが。


「誰だてめぇ」

「タバコ!」

「……あぁ?」


びしっと指差してきたその少女は、今度は手を翻した。

腕を伸ばして、手のひらを差し伸べてくる。


自分の肩ほどの高さの視線を、ぐぃと持ち上げて。



「没収」


「……チッ」



小さく舌打ちをすると、亜久津は煙草を地面に捨てた。

残り火は踵で踏み消した。

そして、くるりと方向転換をして歩き始める。


後ろから声が掛かる。



「ちょっと、没収って言ったの!ポケットの中に箱でも入ってるんでしょ?」

「最後の一本だよ」

「うそ臭い!」



譲りそうにもない。

頑固で一途な、少女の眼だった。


「…ほらよ」


胸ポケットから箱を取り出した亜久津は、それを放った。

はそれを上手くキャッチした。

中には何も入っていなかった。


再び歩き始める亜久津。

は声を張り上げた。


「ね、どこ行くの?」

「…授業じゃねぇのかよ」

「へ?」

「お前、教師に頼まれて俺を呼びに来たんだろ…違ぇのか」


暫く固まっていただったが。

呆然としていた表情崩すと、笑った。


小走りになって横に並ぶと、嬉しそうに話し掛けてくる。


「実は真面目だったりする?」

「…見えるかよ」

「見えない」

「……」


亜久津は言葉に詰まった。

元々楽しく会話をすることなど望んでいないといえば、それだが。


さっきから、自分は質問をしてばかりだな…という気もしたが。

亜久津は横を歩く少女に向けて、問いを放った。



「貴様…俺が怖くねぇのか」



横にいる少女は、一瞬どぎまぎとした表情を見せて。

それをキッと尖らせると、言った。



「怖いよ。でも、負けない!」



思わず吹き出しそうになった。

でも、耐えた。


口の端が上がりそうになるのを誤魔化すために舌打ちをしたら、

いつもとは少し違った音が鳴った。




 胸糞ワリィほどの、いい天気だった。






















あー、あっくんって乙女だよなー…。(何)
なんか受々しいんだよ。参ったね!(遠目)

亜久津の意地に、主人公の勇気が勝ったわけだ。笑。

実は、ドリームでナレーター式って初?
逆ハーはあったけど…個人では初だ。凄。
あんだけ沢山あって初だよ。すげぃ!

タバコと打とうとするとタマゴと動いてしまう指が嫌だ。(ぁ


2004/04/02