* 一歩近付くジャンプ! *












こちらドイツ。

ただいま3月28日、午前1:53でございます。


受話器を持ち上げて、ダイアル。

日本に、あの人に向けて。

そっちは同じく3月28日、午前9:53というところ。



番号を押す。

呼び鈴が鳴っているのが聞こえる。


シュウのことだから、日曜の10時と言えど起きているに違いない。


私が「朝早くにごめんね?」って言う。

そうしたら向こうは、「起きてたよ」っていう。


分かりやすいんだ。絶対そうだもん。



「もしもし」

「あっ、シュウ!朝早くにごめんね?」


マニュアルどおりのセリフ。

しかし…。



「…起こされた」

「えっ、ウソ!?」


まだ寝てたのか!

うわ、悪いことしちゃったな…。

シュウが遅くまで寝てるなんて、
きっと疲れてるに違いない。

前日遅くまで起きてたとか…。

そこに、何も知らずに電話掛けてた私って……っ!



「ジョーダン」

「……は?」



じょーだん。

Jordan?


じょうだん……。



……はっ!?



私騙されたのか!!(気付くの遅い)




「シュウの分際で…!」

「ごめんごめん。で、今日は何の用だ?」



…そうだった。

忘れるところだったよ!

何しろ、時間はあとちょっとしかないのだから。


「あのね、今から一時間分ずれるんだよ」

「……つまり?」

「夏時間になるの」


ああ、とシュウは理解の意を示す。


「確か、冬と夏だと1時間が違うんだったな」

「そーそー」


確かに、日本ではそういうのないもんね。

冷静に考えれば珍しい体験してるぞ、私…。


「時計がね、1:59の次は3:00になるんだって」

「へー…面白いな」

「あ、言ってる傍からもうすぐだよ!」


自動的に時間が調整されるパソコンに内臓されている時計を見ながら、
私はカウントダウンを始めた。


あと30秒。


あと15秒。



あとちょっとだけ、待ってて。



アナタに一時間分、近付くから。




「2…1……ゼロっ!」



変わった。

2時台をすっ飛ばして3時きっか。


………。



「なんか一時間損した気がする…」

「ははっ、そうかもしれないな」



シュウは声を出して笑った。



そうだね。

でも…さ。



「距離は変わってないのに…なんか、少しだけ近くなった気がする」



そうかもしれないな、と。


今度は穏やかな声で聞こえた。

なんとなく、笑顔が浮かんで見えた。



「それじゃー、以上。もう眠いので寝ます」

「ああ。ゆっくりしろよ」



……ありがと。


決してそっちの17時なんかに電話してくれるなよ。

その頃、こっちはやっと10時なんだから。


でも、今までだったら9時だったのにね。




なんか近くなったよ。























素晴らしい自己中っぷりだな!(爆笑)
相手にはやってよくて、向こうはダメなのか。えぇ?(脅)
ま、そこいら辺が大稲なんです。(それでいいんだ。。)

でもホント、近くなった気がします。
ちょっとだけだけど。そのちょっとが嬉しい。
そんなお年頃なただいま7時間差。


2004/03/28