* バニラエッセンス *












昨日ふと、思ったの。


泡立て器を右手に、

小瓶を左手に。



「バニラエッセンスみたい…だよね」



突然の言葉だったためか。


周助は首を傾げた。



「何が…バニラエッセンスみたいなの?」

「何がって…周助がだよ」



予想外の返事だったのか。


周助は眉を顰めた。



「どんなところを見てそう思うの?」

「だってさ」




バニラエッセンスって、

いい香りがする。


甘くって優しい。


思わず鼻を近づけてしまう。




だけど。






「甘いと見せかけて辛口なところ」







言ってやった。




それは果たして嫌味だったのか。


周助は口の端を上げた。



「僕って…そういう人?」

「うん。そういう人」




甘い香りで惹きつけておきながら、

少しでも口にすれば、痺れるような辛さ。


周助にそっくりだと思う。



「でも…どうして突然そう思ったの?」

「えー?えへへ…」



私は立ち上がると、冷蔵庫へ走る。

蓋を被せたお皿を持ってきて。



「…じゃんっ!」



中には、大きなバースデーケーキ。


勿論、バニラエッセンスも入ってる。




「周助、ハッピーバースデー」


「……ありがとう」





微かに、唇を合わせて。


この甘さは、バニラエッセンスの香りにそっくりだと。





やっぱり、これがなきゃダメだと思う。


そんなところが、ソックリ。





砂糖とは違う、甘さ。






















テニプリキャラを調味料に例えるとどうでしょう、
という考えから始まったもの。
不二…トウバンジャンとかもありかと思うんだけど。(ぁ
でも、バニラエッセンス…似合うよな、と。

題名、英語にしようと思ったんだけど。
英…vanilla essence、米…vanilla extract
だという事実を知ってやめた。(米派)
カタカナ語なら問題なし。だって日本語だもん。


2004/02/15