* 特別じゃない記念 *












人気の少ない公園の隅に、二つのブランコ。



別に、いつもと同じなのにね。

なんだか、特別と思いたくなるよ。



「シューウ!」

「ん?」



名前を呼べば、貴方は笑顔で振り返る。

だから、私もまた笑顔を返すことができる。



「今日で、ここに来るの何回目でしょう?」



指を立てて、質問。

シュウは、顎に手を当てると「うーん」と悩んでいた。


「結構来てるよな…20回くらい?」

「ぶぶー。その半分」


へぇ、と意外そうな顔をするシュウ。

私は自信満面な顔になって。



「今回で丁度10回目でしたー!」



思いっきり叫びたてる。

ついでにパチパチと手を叩く。


手を離したお陰でバランスを崩す。

「うぉ!?」とブランコから落ちそうになったけど、またすぐに掴まった。


しっかりと握りなおすと、ちょっとだけ漕ぎ始める。



「もっと沢山来てる感じがするけどな」

「ねっ!私も意外だった〜」



キーコキーコと揺れるブランコ。

これも10回目?

いや、一人で来たことも沢山あるからもっとか。


とにかく。



「それなら、今回は記念すべき第10回…ってことか」



まさにそのとおり!

私の言いたいことを言ってくれて有り難う。


だけどさ。



「だからといって、何か特別かっていうとそんなことないんだけどね」

「確かにな」



シュウは苦笑いした。


だって、揺らすと少し軋む鉄の音も。

前後運動の際に切る爽やかな風も。

後ろから差してくる橙に近い陽光も。

時によっては藍色の空や星屑も。

はしゃぐ私に微笑を浮かべるアナタも。


何も変わらない。



「それでもなんか…特別なんだよね」



そう呟いた。

シュウは、「だな」とだけ言った。






…そんな夢を見た。





「夢オチかっ!!」



目を覚ました私は、思わずそう叫んでしまった。

そんな平日の朝でございます。これから学校。
外は銀世界。雪がとっても素敵ですねー、ハイ。
(ドイツ寒いよー!)(ガタブル)



久しぶりに夢に出てきたな、と思った。
暫く押し込めてたけど、そろそろ淋しくなってくる頃かな?


ゆっくりと立ち上がったけど、
足がなんだかふわふわする。
夢の中で乗っていたブランコの感覚が残っているのかもしれない。
それともただ単に、夢の世界に酔っているのかもしれない。



夢の内容、まだはっきりと思い出せる。

シュウの一言一言から、周りの情景まで、全て。


ところで…公園10回記念って本当かね?
そんなの数えてないから分からんわ。
(結構胡散臭いよなぁ…)
(あたしも20回くらいだと思うんだけど。どう、シュウ?)


「ま、どーでもいっか」


軽く溜息混じりに呟いて、着替え始めた。




これから、また一日が始まる。
いつもと何ら変わりのない、だけど大切な人生の一ページ。

特別な日とか、そういうのってあるけどさ。
それよりは、一日一日を大切にしたいなぁ、と思う。


それでもやっぱり、記念って作りたくなるもの。



というわけで、日記でも振り返ってみようかな。

それで、次シュウと公園に行った時は、「今日で何回目でしょう?」って訊いてやるんだ。


そうしたら、私は自信満面に胸を張って、答えてやるんだ。


例えそれが何回目だとしても。






















最近大稲多いな…。(殴)(痛)(大打撃)(ノックアウト)
規制しようか?でも、書きたいんだもん。欲望に忠実に。
書きたいときに書いたほうが良いもの仕上がるし、うん!
何しろサイトの100%は愛で出来てるからな。
(作品に愛キャラたちに愛サイト自体に愛自分に愛/エゴ)

題名は途中で句読点を入れるよりそのまま読んでいただきたい。

別にどうってことない一つの小説に過ぎない。
それでも、これは私の500作記念。
だからといって特別視することなく、全ての作品に愛を注ぐ。
これからも書きまくりますってことで締め。


2004/01/29