確かにさ。

大石にはを取られたみたいで悔しい感じはしたけどサ。


確かにさ。

が私にあんまり構ってくれなくなって寂しかったけどサ。




だけどね、私なりに

二人は素敵に理想的なカップルに見えてたし。


いつまでも幸せに続いていてほしいなと思っていたんだ。











  * 私的!理想的なカップル *












街でカップルを見かける度に、思う。


 私も彼氏の一匹や二匹、捕まえるべきかしら。


だって何しろ私、カレシいない歴もうすぐ17年。





道端っでチューとかすんなっつーの。見せつけか?

手を繋いで歩くのはいいけどさ、
必要以上にぶんぶん振り回すのはヤメナサイ。正直迷惑なの。

何あのカップル。カノジョは超美人なのに、カレシがヤバめじゃん?



通り過ぎる人たち全てに、難癖をつける私。
性格悪いなーと思いつつも全てが本心なのだから仕方がない。
別に口に出してるわけでもないし、いいでしょ?


…向こうからすれば、

何あの女。多分女子高生だろうけど一人身なワケ?カワイソー。

…ってところだろう。
だからなんともいえないのである。



そうね。
難癖つけるのだって、悔しいんだと思う。
自分が恋人居ない、妬みっていうか。
何だかんだいって羨ましいんだと思う。


「(…コンパとか本気であたってみようかしら)」


合コン行かない?とか誘ってくるコ、クラスに居るのよね。
その度に私は断ってるけど。
部活が忙しいとか、適当な理由つけてさ。
半分は本当だけど、たまに部活がない日でもそんな言葉を並べて、
真っ直ぐ家に帰ったりする。


…なんでだろ。

私には、自分がラブラブ人生を送るより、
付き合っている人たちを見て非難してみたり、
時には温かく見守ってやったり。
そっちの方が楽しかったのかもしれない。


…でもさすがに寂しくなってきた。
自分の青春時代に華を咲かすためにも、
今年の夏までにカレシ作るぞ!よっしゃー!!





だけど長年で染み付いた癖は、やっぱり抜けなくて。
道を歩いている二人組を見ると、ついつい批評の目で見回したくなる。



なんだ、あの男。髪型が今風じゃない。却下。
女はメガネっ子か。アナタにはコンタクトの方が似合うと思いますけど。

って、アレ!?



「…ちょっと待て」



先ほどのカップルは、視界から消えた。
その周辺で曲がり角は右へしかない。
私は即行でその路地に切り込んだ。





  **





後を追跡すること、約5分。


間違いない。
間違いないわよ、あの人は。

一度見たら忘れることは出来ない。
というよりかは、何度も見せられたので忘れることが出来ない。


まるで私の恋敵。
ちょっと違うけど、まるでそれ。

その人が、今、何をしているというの!?



「…やっぱり私にカレシは無理かな」


思わず小声で呟いた。
怒りの感情と共に。


私には、自分がラブラブ人生を送るより、

付き合っている人たちを見て非難してみたり、

時には温かく見守ってやったり。

そっちの方が向いているに違いない。



 神様、私はやってしまうかもしれません。

 これも大切な親友のためなんです。





全身をウズウズと蠢く衝動。

二人は、笑顔を交わした、その時!





「っざけんな!!」







パァン!





小気味いい音が、私の耳に木霊した。



綺麗に当たった掌が、なんだかジンジンとする。





「えっ!?」



女の子が、驚いた顔で私と男を見比べる。
そんなのに見向きもせず、
私は男の顔を見続ける。

できれば見下ろしてやりたかったけど。
身長差からしてそれは無理。

下から思い切り睨みつけてやった。



「…見損なった」



声が震えてる。

分かる、けど、止められない。




「アンタ、のことは、どうしたのよ…っ!」




返事を、してこない。





「なんか言ったらどうなの、大石!!」





そう、女の子と二人楽しそうに歩いてましたのは、
大石秀一郎。可愛い×2彼女持ち。


それが…別の女と街中歩いて、
へらへらしてるってどういうことさ!ねぇ!?



すると…。




「わたし、お邪魔でしょうか…?」

「あ、ああ。ええと…建物はそこを曲がって左だから。分かるだろう?」

「はい!本当に有り難うございました!!」




……へ?


ぺこりと頭を下げると小走りでその場を去った女の子。
私は淡々と進む会話の間、瞬きを繰り返すだけだった。


こっちを向きなおした大石は、頬を摩りながら言う。


「ちょっとした誤解、だろ?」

「……そうみたいですネ」



ゴメンナサイ。

いつもの10分の1くらいの大きさの声で、そう謝った。






どうやら、大石は道を訊ねられたらしい。
それで、道案内をしたそうなんだけど…。


「だったら、なんで口で説明しなかったの」
「いや、ただ……」
「言い訳禁止!さては女のコが好みのタイプだったんでしょ!」


大石は、ダンマリだった。

…もしかしてビンゴ?
あーあ。笑っちゃうよ…。


「そうか、大石の好きなタイプは小柄でメガネ掛けたコか…」
「!?」
「だって、まんざらでもないって顔だったよ?」


私は言ってやった。ニヤッと笑いつつ。
大石は、参ったな、という感じで苦笑を零した。


「確かに、可愛い子だったけど…」
「あ、そういうこと言うんだ!に報告しちゃろー」


茶化すと、「やめてくれよ」といいつつ大石は溜息を吐いた。

しまったしまった。
あんまり苛めるとこの人胃痛を起こすんだった。


「別にメガネとか、顔自体が好みとかじゃなくて…」


その言い方ってやっぱりあのコが可愛いって思ってたってことじゃない。
言ってやろうと思ったけど、胃はお大事にってことで。


大石は、微笑むと言った。




「笑顔が、似合う子だったな」




何かを思い出しているかのように、侘しそうな顔を見せた大石。


そっか。
大石だって、寂しいんだよね。

なんだか同情してしまった。





「誰かさんみたいにね」





私がそう付け加えてやると、大石は少しはにかんで破顔した。


誰かさん。
それは、お互い同じ名前で変換したと思う。


「っていうか、その“誰かさん”に似てたよね、さっきのコ」
「…そうかもな」


大石は微笑した。
私も溜息混じりに苦笑した。



……、元気かな。


だって、私の前で笑うは、
写真の中だけにしか居ない。


…そうだ。



「そういえば、メガネで思い出したけどねー」
「?」


不思議そうな顔をする大石。
私は、ニヤッと不敵な笑みを見せてやる。




「面白いものがあるんだけど、これからうちに来ない?」




「変なものじゃないといいけどな」といいつつ、
大石は私の横に回りこんできた。
つまり、ついてくるということですか。




「それじゃあ出発!」





足を揃えて、私たちは歩き出した。



そうして、思い出を語りながら歩き出す私たち。

クラスも何もかも変わってしまった今、
友人の恋人でもなんでもなければ私はこの人なんて見向きもしなかっただろうに。


繋ぎとめてくれた親友に、なんだか感謝したような。

あまりに幸せな二人に、ちょっとだけ嫉妬したような。



笑い合う私たち二人。

傍から見れば、カップルに見えたりするのかな。


それがなんだか侘しくって、途中私は何回か空元気を見せた。


向こうも何度か、微妙な笑みを見せた。




見守っているのもいいけど、

やっぱり私もカレシ欲しいなーとか。


色々考えながら歩いた。






















ちょっと友人→大石っぽいぞ?(笑)
違う。違うからね。
でも敢えて分類するならこの話は微悲恋だと思います。

これがまさか、あんなハチャメチャな話に繋がるなんて…。(含み笑い)
(これは『メガネっ娘萌ぇ?』の前のお話です)
それで大石は過去のアルバムを見て、ちょっかいを出すことに決めるんです。

友人視点面白いぞー。本当に気持ちのいい性格のやつだな!(笑)
ドリーム小説の常識を超えまくってるけどまあいい。また書きたいな。(ぁ


2004/01/25