* 嫌いじゃないから、キライ。 *
3組の教室を出た私は、2組の教室、
即ち自分の教室に帰ってきた。
窓から2列目、一番前…居た。
確認して、私はそそくさと歩み寄った。
「おーいしっ」
「ん?」
顔を上げた彼。
私は、手をひらひらと振った。
向こうは笑顔を向けてくる。
相変わらず爽やかだなぁ……。
「どうした、何か用か?」
「うん」
ストレートに伝えます。
そんな一本気な性格の私。
「隣のクラスの…さん、居るでしょ」
「…それがどうかしたのか?」
あーあ。顔赤くしちゃって。
困ったわね〜純情ボーイは。
丸分かりなのよ。
アナタがを好きだってこと。
「あのね、とある人に告白されたんだって」
「!?」
「そうねー、イエスかノーかは私も知らないけど」
ちらちらと大石の顔を見ながら。
私は続ける。
「返事は昼休みが終わる前までにするみたいだったな、うん」
私が言い終わるか、否か。
大石は「教えてくれて有り難う!」と言い残すと
凄い勢いで教室から出て行った。
居なくなったのを確認して、私はペロリと舌をむく。
「そのとある人ってのは、アナタなんですけどね」
私、嘘吐いてないよー。
“夢の中で”とある人に告白された。
イエスかノーかは私も“はっきりとは”知らないけど。
“アナタが今告白するなら”返事は昼休みが終わる前までにするだろうね。
…沢山の補足付きで。
「二人とも分かりやすいんだよー」
ぼそりと呟いた。
去年、私たち三人は同じクラスだった。
二人は、どう見ても両想いだった。
お互い鈍感で、気付いていないみたいだったけど。
今年はだけクラスが離れて。
私、あの人に近付けるかなと思ったのに。
近くに来たって、触れることは出来なかったかな。
…なぁーんだ。
恋って、一途に想ってても実らないものなのね。
だからさ、ちょっと苛付いてた。
口や態度が悪かったことぐらい許してよね、バカ。
いっそのこと、嫌いになれれば楽なのにな。
だけど、そうはいかない。
それがイヤなんだ。
I would like to hate you.
I hate myself not disliking you.
――…二人、どうなったカナ。
これぞ完璧悲恋!ジョー!!涙が零れる!(大袈裟)
えー、『好きだけど、スキ?』の友人さんサイド。
実はこんな仕掛けがあったんです。
というか、大石が突然告白してくる切っ掛けが必要だったので、
辻褄を合わせるため後から取ってつけた話なんですけど。(爆死)
友人視点って始めてかも?うひょぃ。
“いっそのこと、嫌いになれれば楽なのにな。”
これは、さんに宛ててるとも大石に宛てているとも取れる。
あーあ、切ないねぇ三角関係は。
2004/01/23