* 元気不足の原因はキミ *












授業中に見えた横顔、ちょっと疲れてた?

溜息を吐く回数が、いつも以上に多い気がする。



大丈夫かな。

気になるけど、訊くことも出来ないし。

ましてや近くに行って肩を支えるなんてことも出来ないし。


私がいるのに無理しないでよ、なんて。

そんな言葉を掛ける資格も、私にはないし。



せめて、もう少し近くに居たら、助けることが出来たかな。

そう考えつつも遠くから見ることしか出来ない私には、

近くに行けたとしても助ける力は備わっていないかな。



とにかく…無理はしないで。



そんな言葉を掛ける資格も、私にはないけれど。

それでも、あまりに疲れた様子の横顔を見ると。


私は溜息を吐くしかない。





「どうかしたのか?」


「―――」




俯いていた私に、横から掛けられた声。

先ほどまで、私がその顔を見ていた。


大石くん。





「元気無いけど、悩み事?」


「いや、そんな…」




手を振って否定すると、向こうは「そうか」と言った。



トクン、トクンと心臓が鳴る。

近くに寄るだけで、こんなにも。





「とにかく…無理はするなよ」





良かったら相談に乗るから。


そう残して、大石くんは私の傍を離れていった。






「……それはこっちのセリフだよぅ」






小さく呟いたセリフ、向こうには聞こえていないはず。




元気がない私。その原因は、

元気がない貴方なのに。



近くに寄って、無理しないで、と。





…そう言いたかったのは、私の方なのにな。






















微悲恋の共通点。
微妙なところで終わること!
実は悲恋と見せかけて両想いであること!
…ハイ。主人公は大石が元気ないから沈んだんですが、
実は、大石が沈んでいた理由こそ、主人公が元気なかったから、だったと。
はっはっはー。にわとりと卵のような話。

あ、ついでに言うと、「私がいるのに、無理しないでよ…」は、
とにかく100題の59題めから引っ張ってきた。笑。
あの子には、そんな言葉を吐く資格があるって話。(さり気ない大稲/阿呆)
(勿論、これは違う世界観なので、この主人公と大石が両想いなのよ!)

『魔法のコトバは諸刃のツルギ』にそっくりだね。イメージ。
とにかく、無理しすぎは厳禁ですぞー。


2004/01/22