* スタートライン *
大晦日。今日は一年間が終わる日。
それと同時に、アナタが始まる日。
「どうも、今年も一年間有り難うございました」
「こちらこそ」
私と一郎。家の前の塀に、寄りかかってる。
なんだか改まって、話した。
寒い空気がツンとする中、白い靄を出して。
家が隣だってことから、昔からずっと一緒に居た。
今年の年越しも同じ。
もうすぐ、新しく切り替わる時。
「そういえばさ、今日誕生日なんだよね」
「まあな」
一郎は、苦笑いをする。
「しっかし、半端だよな。どうせ生まれるなら元旦に…」
「なんで?」
「―――」
私の言葉に、一郎は固まった。
鳩が豆鉄砲を食らったような表情してるもんだから、言ってやった。
「生まれた今日は、0日目…てことは、1月1日が1日目になる。ほら分かりやすい」
一郎は瞬きを2回繰り返して、「そんなこと、考えたことなかったな」と笑った。
そして、「好きになったよ、自分の誕生日」と言った。
今日スタートラインに立ったアナタは、明日から一歩目を踏み出す。
それを、私は追うことになるのか、引っ張ることになるのか。
とにかく、来年もヨロシク。
題名は『スタートライン』で。
2003/12/31