* 甘受性 *












どちらかというと、頼られたい側。守りたい側。

好きな人だと、それは尚更だと思う。



「カオルー」

「あ?」



正座してみる。


「膝枕してあげる」

「いらん」




立て膝になって擦り寄ってみる。


「抱き着いていい?」

「できる限りやめろ」




…つれない。

そこが好きなのかといえば、そうなんだけど。




足を放り出して座った。




普段は姐御肌、とか。

時には親分、とか。


そんな呼ばれ方をしている自分。


人を寄せ付けないオーラ放ってるだとか。

いつでも他に睨みきかせてるだとか。

つもりはないのだけれど、そうらしい。


それでも…それだから?



たまには甘えられたい時だって、ある。




「(薫をムコに取ったのはミスだったか…)」



この際ヨメに貰っておけばよかった、なんて。

そんなしょうもないギャグを思考の中で、飛ばして。


横に座っている恋人を、見上げた。



「(デカイよな、173)」



羨ましいぞー。


そんなことを考えた時。






「……は?」





思わず間の抜けた声。


なんなのだろう。

薫に抱き着かれたぞ?


め、珍しいというかなんというか。



…うわー。





「…薫?」



腕の中から見上げるようにするけど、顔はイマイチ見えない。



照れた顔、してるのかな。

いつもみたいに、眉潜めて。



「…したかったからした、それだけだ」


「はいはい」




こんな自分だけど。


たまには甘えたいこともあることぐらい、薫は知ってる。






色々とやり切れなくて、広い胸の中、大きく溜息を吐いた。





















薫たん。照れ屋だけど頑張り屋さんなのさ。
そんなところがまた素敵。

主人公の性格が難しい感じでした。
普段はこういうのあんまり書かないからなぁ。

題名は甘受と感受性を掛けてみたワケ。甘々ダーク系。


2003/12/02