* 好きといわせて。 *












 『 ダイスキ 』



たまに、思うことがある。

お前が離れていってしまうのではないかと。


どこにそんな根拠があるのかも分からず、不安になる。

俺には遠ざかる背中を、掴むことは出来ないのに。







声を掛ければ、必ず笑顔が帰ってくる。

それを今日も確かめたくて、俺は名を呼ぶ。



「なぁに?」



その笑顔が見られる限りは、大丈夫だ。


離れていかないように。

繋ぎ止めているんだ。



「…なんでもないよ」

「なにそれー」


お前は、どんな気持ちでそこに居る?



「ねぇ、私のこと…好き?」

「うん」



寧ろ訊きたいのはこっちの方なのに、即答。


とにかく自分の想いを伝えておきたくて、耳元に口を寄せる。




「好きだよ」





優しく呟く。

綻んだ顔が見える。


それだけに、俺、支えられてる。



合わさった視線。

少しずつ近付けられて、口までもが交わる。



こうすることにより、どこまで想いが伝わっているのか。

分からないのに、ひたすらに求める。



お前のこと、大好きだ。

それを忘れないでいて欲しい。


お前が振り返ってくれなくなったら、俺、

きっと消えてなくなってしまうから。



いつまでも、俺が伝えるキモチに応えてくれ。

切実な、願い。




身も心も酔い痴れるような、痺れた甘さに落ちていく。






















『好きでいさせて。』のパラレル作。
大石視点です。もう完璧大石だよこの際。

なんだかドラッギーなカップルだな、汗。
やはり将来が疑われますが…。
ひたすらに愛を伝えたがる者に、
愛せることを願うものに。
……危険だ。(ぁ


2003/11/24