* hotly heaving heart *
年に2回の恒例行事。
私と貴方で一つずつ。
そう、今日は……。
「タカ、お誕生日おめでとぉー!」
幼馴染であるタカこと河村隆のバースデーってやつです。
今日は河村すし、開店休業?
いや、閉店の看板を出してるのに、
お寿司は握ってくれてるんだから…閉店営業?
まあ、なんでもいいや。
「よし!今日はおじさんの奢りだ。たんとお食べ!」
「はい、頂きますv」
カウンターに座った私は両手を合わせる。
早速注文。
「それじゃ、鮪の赤身をお願いします」
あいよ、というとタカは早速おすしを握り始めた。
いい手つきだなー、なんてぼーっと見とれていた私だけど。
「…なんか変じゃない?」
「え、どうして?」
不思議そうな顔をしながらも手は動かしつづけるタカ。
私は言ってやった。
「だって、タカの誕生日だよ?なんでタカがカウンター立ってんの」
「あ、確かに…」
あはは、とタカは笑った。
全く。
ま、私はタカのそんなところが好きといえばその通りなんだけど。
「んーまあ、俺の握った寿司をに食べてもらえれば、本望かな」
「やだー、タカったらー」
照れながら私は手をパタパタと振る。
横でおじさんが笑ってる。
親公認で付き合ってますから、私たち。
「言うじゃねぇか、隆。ついでにちゃんに
新鮮な魚の見分け方でも教えてあげたらどうだ?」
なんでそんな話に…と思ったら。
「板前の嫁になるとしたら、それくらいできないとな」
「やーだおじさんまで!」
また、笑いが辺りを包む。
楽しい時は、続いた。
「一丁あがり」
差し出されたお寿司。
とても、とっても美味しかった。
**
食後にタカの部屋で遊んでくのも、
最早毎年の習慣になってる。
そんなわけでやってきましたタカの部屋。
「で、何する?ゲームですか?」
「ワンパターンだけど」
うん、確かに毎年、やることはゲームだよね。
他に、二人ですることといっても、ないし…。
昔からなにも変わらない。
でもタカだって今日で15歳でしょ?
何か変わっても、いいんじゃないかな…。
こんなにもピチピチな可愛い彼女と二人きりだというのに、
あまりに普通に振舞うタカ。(細かい突っ込みはなし)
私は勝負に出ることを決めた。
実は、家を出る前、というか数日前からずっとそのつもり。
本日も、勝負下着ですよ、ここだけの話。
一緒にオトナになりたい。
タカには遠まわしな手段は通用しない。
直球勝負。
「ねぇタカ、エッチしない」
「!?」
両手で持っていたプレステを、タカは取り落とした。
「なっ…!?」
「そろそろいい頃だと思う。覚悟も出来てよ」
口をパクパクとさせるタカ。
顔赤い。
うーん。
刺激が強かったかね?
と思いきや。
「ほよ?タ、カ――」
突然の、強い抱擁。
これほどまでに上手く展開が持ち込まれると思っていなかった私は、
逆に戸惑ってしまった。
「タカって…そういう欲求ないと思ってたんだけど」
「…俺だって男だよ」
「だよねぇ」
そんな呑気な口振り。
私はタカの腕の中。
「本当に、いいのか?後から“冗談だったのに”とか、なしだぞ?」
「うん。私は本気よ」
言ってるうちにも、熱い体温が伝わってくる。
ああ、服の内側に手が入ってきた。
温かくて、大きくて、安心する。
こんなものを近くに置きながら、気付けてなかったんだね、私。
「後悔、しないな」
「うん」
いつも以上に慎重なタカ。
そんなタカだけど。
紅潮した頬、
熱い息遣いが。
見える、
聞こえる、
感じられる。
ここまでやっておいて、止めろってのも酷でしょう。
それでも、私が「やめて」って言えば。
タカは無理してでも本当に何もしないんだろうな。
…ちょっとした悪戯思いついた。
「やっぱり、やめて」
顔を背けてそう言った。
タカは、一瞬困った顔をすると焦って私の体を離す…
と、思ったのに。
「無理だよ」
……は?
「ここまでしておいて止められるほど、俺はお人好しじゃないよ」
「タカ――、んっ!」
タカ以上のお人好しなんてどこに居るのよ、
と心の中で突っ込むことも束の間。
深い口付け。
熱くって、
とても熱くって。
何も考えられなくなった。
いつの間にやら服のボタンは外されていて、
口が離されると全て剥ぎ取られた。
恥ずかしい気持ちもあったけど、
それよりタカに私を見てほしかった。
こんな淫らな私はイヤですか?
身体中に手を這わされる。
不快な気持ちはどこにもなくて。
嬉しさと、愛しさと、ひたすらな熱さを込めて。
「ふっ…ぁ……」
零れていく甘ったるい声も、
止められない、止まらない。
変わっていくの、私。
この行為の中で。
全身を愛撫されて、
その手もいつしか、
下へと回されていく。
刹那。
「っあ!」
引き攣ったような叫び。
びくりと震える身体からは、
幾筋もの流れがほとばしる。
ああ。
どうして、こんなに淫らな。
でもこれがハダカの私。
受け止めてくれるの?
「、ゴメン…」
中では指を暴れさせたまま、耳元で囁かれる。
「本当に、止まらない…のこと、壊しちゃいそうで怖いよ」
熱い吐息と一緒に出てくる言葉。
遠くなりそうな意識の中、私は言った。
「いいよ…壊されたって」
タカは驚いた顔してた。
「だって、さっき…」
「あんなの、冗談だよ」
私を見て、タカ。
大好きだよ。
この気持ち、伝わってる?
「本当はね」
『タカにならメチャクチャにされてもいいって、ずっと思ってたんだ――』
言葉を言い終える瞬間、熱い熱い口付け。
身も脳も全て蕩けるような。
その後の記憶は、とても曖昧。
とにかく全身が熱くて、熱くて。
何度も完全に意識が飛びそうになった。
それを支えてくれたのは、タカの存在。
包み込んでくる熱さだけが、ひたすらに強く。
その後に身体中の中を突き抜けるような熱も、また有り。
用意周到なことにゴムまできっちり準備されてて。
ああ、私だけじゃなかったのか、意識してたのは。と、気付いた。
意識が戻されたのは、タカの声によって。
「……!」
「んっ…」
暫く焦点合わなかったけど…。
そこにいるのはタカ。
それは確か。
頭もなんだかぼうっとしてる。
「私……、っ!」
「あっ、無理に動かなくていいよ」
…情けない。
起き直ることすら出来ない。
全身の筋肉と関節が軋む…。
「タカ、今何時?」
「もう11時だよ。そろそろ帰った方が…」
時計と私の顔を見比べながら焦った表情で喋るタカ。
さっきまでの記憶の中に居た様子とは随分違って、
私はなんだか笑ってしまった。
「タカ」
「ん?」
腕を持ち上げた。
近付いてきたタカの首に回す。
「今日ぐらいは、帰ってこなくたって親も心配しないよ」
だから…と。
耳元で、小さく甘く囁いた。
―――明日になるまで、このままで居て…と。
先ほどより少し冷めた、
それでもまだ温かいこの身体。
重ねた私たちは、額を軽くこつんと当てて、笑った。
うぁ〜聖域に手ぇ出しちゃった!(滝汗)
いいんだ、夢だし。普通に恋愛してるぜタカさん!(涙)
でも、いい感じじゃないですか?
気に入っちゃったよ。タカさん素敵だ。さすが寿司屋。(?)
題名は熱く波打つ心、です。バーニング!
河村父が、「今日はちゃん帰らないと思うよ」
とか連絡入れてると面白いよね。(微笑)
いいんです。公認だから。将来保証。
とにかく、タカさんお誕生日おめでとう!ってことでv
2003/11/17