* Where we are *












2年C組、本日席替え。



「やりっ、窓際だ!」

「えー、一番前なんだけどー」


そんな声で盛り上がる中。

俺は普通に一人自分の紙だけを見てた。


14番、窓際。

…ラッキー。


ちょっと優越感に浸ってみた。

あ…だけど、これからの季節に窓際って悲惨かも…。

夏の日差しが眩しいっていうか暑苦しいっていうか。

大体、なんでクーラーとかないわけこの学校は…。


「それじゃあ机を動かしてください」


学級委員がそう言ったから動かす。

遠いな…めんどくさ。

人がガタガタ動くのが治まった頃に間を擦り抜けた。


桜井が居た。


「よっ、深司も窓際?何番?」

「……14番」

「あ、俺の後ろだ」


というわけで、桜井の後ろに机を置いて座った。


教室全体を見回す。

前を見てみる。


…悪くないかも。



「一番前なのは最悪だけど、端だから結構見えないかもな」


桜井はそう言って笑った。

笑顔があまりに明るくて逆に憎くなった。


「でもさー…暑いと思わない?暑いよね?なんで日本ってこんな湿度が高くて…」

「落ち着け、深司!」


手を前に伸ばしてきて、どうどう、と言った。

俺が喋るのをやめると小さく溜息を吐いて、そっちが話し出した。


「小学校から一緒だけどさ、席が近くは初めてだな、多分」

「えー…まず同じクラスになったことあったっけ…」

「あっただろ、5年の時!」


…ああ、そうかも。

なんとなく思い出した。

うちの小学校って珍しかったわけ?

一年ごとにクラス替えって。

しかし、一回しか同じにならなかったんだ…へぇ。


その時は桜井のことなんて名前と顔しか知らなかった。

いや、今も…別に大したことは知らないや……。



「あ、深司」

「?」

「ちょっと、動くな」


穴の開くほど見つめられる。

俺は無表情のままだけど心の中では焦ってたりして。

桜井の目って、弱いんだよね。

なんていうか、真っ直ぐ過ぎてさ。


指が伸びてきた。

え、目潰し?


…違った。


「睫毛、抜けてた」

「あ、そう……どーも」


どう致しまして、と。

桜井は小さく笑った。


………。


「あ」

「?」


確か、こんなおまじないがあったような。


「願い事しなきゃ…」

「…なに言ってんだ、お前?」

「……何でもない」


他の人に睫毛を取られたらおまじないをするって。

…なんでだっけ?

よく知らない。でも聞いたことあったから。



願い事、なんにしよ。






















深司は元々なに考えてるのか分からないので、
一人称が非っ常に書きにくいです!(きぱっ)
でも…誕生日祝いってことで頑張っちゃう。

伊武桜って、いいよね。笑。
二人とも美人さーん。万歳万歳。

だけど、本命は橘伊武です。


2003/11/01