* Who you are *
4月。
今日から不動峰中に通うことになる。
うちの小学校から来たやつは、割合としては3割ほど居る。
でも、うちのクラスには少ない。
顔知ってるやつ居るけど、名前知らないし。
別に構わないけどさ……。
ぼーっと座っていた。
すると叩かれた肩。
「…?」
「よっ」
「………」
なに、コイツ。
中学生になってやる気満々って感じ。
「オレ神尾。お前は?」
「…伊武深司」
「深司か。宜しくな!」
突然宜しくされた。
笑顔を作るのは余り得意じゃないんだけど…。
向こうが余りに嬉しそうな笑顔だったので、なんとなく笑った。
しかし、コイツ……。
「オレのことはアキラって呼んでいいぜ!」
「うちの小学校から峰中に来た奴6人しか居ないんだ」
「ここの給食って美味いのかな」
「担任、男かな女かな。微妙な名前だったよな」
結構、ウザイ。(酷)
一人でずっと喋ってる。(よく疲れないよね)
文句でも言ってやろうか、と思ったけど。
まあ、話す奴が出来てよかった…のかな。
よく分からないけど。
とりあえず無害だし、放っとくか。
「で、お前部活は決めた?」
…質問された。
勿論答えないわけには行かない。
「…テニス」
「え、マジで?オレ、テニスと陸上で悩んでたんだけど。テニス部にしようかな」
「……ぇー…」
「なんだよ、その文句有りげな声は!!」
その時は、まだ気付いていなかった。
それからずっと共に戦っていく戦友になるなんてこと。
自分の中で大きな割合を占める人間になるなんてこと。
何も、気付いていなかった。
「じゃあさ、今日早速仮入部行こうぜ!」
「…今日はどこの部活も活動はなしらしいけど」
「えっ……」
ちょっと、外してるけど。
かなりヘンな奴だけど。
だけど、自然と親しみを覚えた。
…そんな日から、一年以上が経った今。
あれから色々と状況は変わったけれど。
アキラは俺のこと、“親友”だとか思ってるのかな。
態度に出さなくたって、俺が一番信用してるのはアキラだってこと、
本人は気付いてるのかな。
…気付いてなさそ。
ま、別にいいんだけど。
「深司ー!」
「―――」
「打ち合いやろうぜ」
ラケットを掲げながらアキラはそう叫んだ。
…うん、まあ、別にいいか。
親友だとか、戦友だとか、部活仲間だとか。
そんな代名詞、必要ないし。
なんだかんだいって伊武くんが一番信用してるのは
神尾くんなんだろうなー、と思って。
というか、不動峰の設定を固定したく。
橘×伊武&神尾→杏→桃城…って感じです。
伊武神はあくまでもカップルではなくギリギリに親友。
心の中では→神尾なのに気付いてないだけなんじゃん?
と疑いたくなるほどにギリギリ。
だけどあくまでも深司的は橘さんなんです。
最後の一行、投げやりっぽく聞こえるのは
まあ深司だからしょうがないとして。
言葉なんかよりハートだぜ!ってことなんだろうね。多分。
一年の頃は微妙に性格が違ったと思われる伊武ちゅん。
だって、今だったら無理に笑顔なんて絶対作らねー!
でも、一年の頃の彼、結構笑ってたから…さ。
2003/11/01