* 憎めない奴 *














「あ?」


横から林の声。


「なに」

「ああ、今日お前日直だろ」


……ああ。

そうか、日直…。


「めんどくせー。もう一人の方に任せる」


そう。日直は二人で一組だ。

なら、わざわざ俺がやることはない。

もう一人にやらせちまえば…。


「それは無理だな」

「…なんでだよ」


訊くと、林はにっと笑った。



「だって、もう一人が俺だもん」


ほら、お隣さん忘れんなよ、

と並んだ机を顎でしゃくりながら林は言った。


「てめぇがやりたくないだけか」

「お互い様」


林は頬杖を付いたまま言った。

笑いが治まると、立ち上がる。


「ほら、さっさとやっちまおうぜ。一緒にやりゃ早く終わるだろ」


…すごくいい加減に見えるけど、結構コイツ、真面目なんだな。

そう思って黒板を消し始める。


アイツは左、俺は右から。

真ん中ほどでぶつかるはず。


……と思ったら。


「…あれ?」


気付けば左端。

振り返って教室全体を見回すと…。


「…林っ!」

「おー」


呑気に手を振ってきたソイツは、桃城たちとくっちゃべってた。

途中で(というか多分始めた瞬間ぐらいに)逃げたな…。


コノヤロ…。




でも、なんか憎めないやつなんだよな、林って。


今回は俺の負け、かな。






















書きたかったのは、最後から2番目の行であります。
性格悪いのに憎めなーい。林くん最高。
林っていうかリン寄りだけどな。(何)

男主人公久しぶりにやったなぁ。
一年ぐらい書いてなかった…やっと2作目。

題名直球過ぎた。捻りがなーい。

いいよね、林。好きさー。
内容は関係ないけど誕生日おめでとう!


2003/11/01