* 可愛いフリして恋敵 *
「それでは、今日の授業はここまで」
「きりーつ」
学級委員の声が掛かって全員立ち上がる。
勿論私も、隣の人も。
「礼」
「「ありがとーございましたー」」
こんな言葉を心から言ってる人はどれくらいいるんだろ?
なんてちょっぴり苦笑しながら。
早く遊びに行きたいー、と思ってる人の方が多いんじゃない?
実際、中には言葉が終わる前に走り出す人も居る。
私の隣の席の人もそのうちの一人だ。
今日は負けない。
私の取った行動。
「ありがとうござ、ねぇ」
同じく言葉も終える前に動いた。
腕を掴んでやった。
向こうは驚いてた。
席は後ろの方だったため、特に先生が気付くこともなく。
きちんと挨拶を終えた人もばたばたと動き出す中、
視線を合わすと私たちは固まっていた。
「…なんだよ」
その空間に痺れを切らしたのか、内村はそう言った。
私は質問返しをする。
「そんなに森くん好き?」
「はぁ!?」
裏返りかけの呆れた声が返ってきた。
私は関せず自分の意見をぶつける。
「だって、休み時間になると凄い勢いで突っ込んでくじゃん」
「それは…ただ単に仲が良いから遊びに行ってるだけだよ」
内村は相変わらずの鋭い目付きで言ってきた。
ホント目付き悪いよね、この人。
すっとした目、嫌いじゃないけど。
「そっか。同じテニス部でダブルス組んでるだけはあるね」
「だからなんだってんだよ…って何で知ってるんだ?」
目新しい物でも見るかのように、まじまじと視線をぶつけてきた。
この辺の情報は抜かりないって。
好きな人の情報集めはね、得意なものなの。恋する乙女ってのは。
森くんを見、内村を見。
私は溜息を吐いた。
「何も気付かず私の恋路を邪魔するなんて…やってくれるわね」
「……えっ?お前今、なんて…」
「なぁーんでもない」
そのまま、なんとなく会話は続いてた。
10分間の休み、ずっと話してた。
こんなに長く話したことは初めてかな。
とりあえず、内村が森くんのところに行かなかった。
第一段階クリア。
相手と話して様子を窺うことが出来た。
第二段階クリア。
さて、第三段階ではもっと接近しちゃいましょ。
いや、主人公→内村で内森前提だったりすると面白いなぁって。(鬼)
いやいや、この際寧ろ主人公→内村と見せかけて
実は主人公→森くんだったりすると面白いなぁと。(鬼笑)
冷静に読み返すとそう言う風に取れなくもない。
いや、普通に主人公→内村のつもりで書いたけどさ。
でも主人公→森くんに取れなくも無いように書いたことは紛れもない事実。(吐いた…!)
とりあえず内森前提であることは確か。(笑)
とりあえず京ちゃんお誕生日おめでと!
誕生日関係なくてごめんよー。
2003/10/28