* revenge him=avenge myself *












まだ…そんなに遠くには行ってないはず。

きっと待ってくれている。


去り際に、一瞬見せたあの瞳。



大石は何も諦めちゃいない。

なんかしらの方法を考えて…ここから逃げ出す気だ。




みんな、生きて。








そんなことを考えて歩いていた菊丸は、
建物を出た瞬間、盛大な歓迎にあった。




「…わっ!」



ボウガン?



すんでの所で避けながら、
持ち前の動体視力で見極めた。

飛んできた元の方向を向くと、
ガサガサと逃げていく音がした。



まさか大石はあんなことしないよな…。




そう考えると、菊丸は先へ進むことにした。






しかし…なんて、愚かしいものなのか。

この、バトルロワイヤルというゲームは。



それでも、乗ったものが、少なくとも一人、居る。


一人居ると言うことは、
他にも沢山居るのかもしれない。




闇雲に動くのは危険だ。

そう悟った菊丸は、とりあえず自分の支給された
武器などを確かめるために茂みに潜むことにした。


それにしても大石はどこだろう。
そんなことを考えながら。

あんな視線を向けるからには意味があると思ったんだけど。
待っててくれるというサインではなかったのか…。



と。その時。




「あっ、大石!」


居た。
見つけた、大石。


だけど、どうして寝てるの?



「大石、こんなところで寝ると風邪ひくよ」



体を揺する。



「ふざけてないで起き……」


ぺチン、と頬を叩いて。
思わず自分の手を、見た。

手と頬を見比べて、大石の肩を揺する。


「大石…早くしないと誰か来ちゃうって……」


体を反転させるように片側だけを持ち上げる。

そこには……。




「…うわあぁぁああぁぁぁぁーー!!!」




狂ったように菊丸は叫んだ。





何しろそこに居た大石は。



白目を向いて。

口から血を吐いて。





先ほどまで生きていたものとは思えない。

そんな無残な姿にされていた。





「やだ…大石、そんな……オオイシ!!」





ぶわっと涙が浮かぶ。

一瞬にしてこんなに吹き出ることが出来るのか、
と不審に思うほどに。




パニック状態に陥りかける菊丸だったが、

胸に刺さった矢を見て逆に冷静になった。




もう、自分の存在理由はない。

大石に会えると信じていたから、ここまで歩いてきたのに。





その矢に、手を掛けた。

奥深くまで刺さっているから、抜くのには力が要った。


思い切って引き抜くと、少し肉が、抉れた。




生ぬるい血が矢を伝い手を侵す。

手の甲を、ぺろりと舐めた。


鉄の味がした。





これを、自分に刺そう。

そうやって死のう。


短めのこの特徴的な矢。

さっき自分が飛ばされた物と同じ。

ということは、犯人も…きっと同一人物。




「―――」





ふと、気付いた。


まだ出てきている人はそう多くない。

大石を殺した人物、自分を狙った人物を特定することが出来る…。




名簿を広げる。

出だしが吉村の弟の方からだったから…。


吉村(駿)、吉村(優)、荒井、池田、越前、大石…飛んで、海堂、加藤…。

必ず、この7人の中に居る。





自分の存在理由が、出来た。


復習という名の理由が……。





「大石、オレ行くよ」






今まで有り難う。

君の全て、背負っていくから。



冷たくなった口にキスをして。

血の味を忘れないうちに、立ち上がった。






さっき大声を出した。

いつ人が来てもおかしくない。



伊達に、このゲームに乗っている奴が居る。

少なくとも一人。






七人の名前を復唱しながら、闇の中菊丸は走った。






















続きそうで続かないv
バトロワを全部書く気はあまりないのよ。
書きたいシーンだけ書きます。

大石は最後まで残るか最初に死ぬかっていったら間違いなく後者。笑。
ところでバトロワネタって菊大が多いね、我が家。
とにかく菊ちゃんは大石が好きで仕方が無いのさ。そして黒気味。

犯人は誰でしょうね。実ははっきり決めてないのでご想像にお任せ。

一人称とナレーター式の中間をいってますが
一応これはナレーター式なんです。


2003/10/20