* shimmering shiny shadow *
雲一つ無い。
敢えて言うなら、飛行機雲が一筋。
それも、長い時間は停滞せず数秒後には消える。
驚くほどに真っ青な空。
こんな空を見ると、思い出す。
「「影送りが出来そうな空だなぁ/にゃぁ」」
横を、見た。
共に歩く者。
はたと目が合う。笑った。
「あれでしょ?小学校の頃教科書でやった」
「そうそう、アレアレ」
話の粗筋を思い出したりして、軽く盛り上がる。
そして、話の流れはかの方向へと向かう。
「ね、やってみよ」
「英二ならそう言うと思った」
「確か、影を瞬きせずに10秒くらい見つめて、空を見上げる…だっけ」
「そーそー」
立ち止まって、自分の影を見る。
1秒…2秒……。
6秒目に達すると同時、英二が叫んだ。
「ストップ!」
「わっ、何?」
反射的に顔をそちらに向けてしまい、
どちらにしろ影から視線は剥がされた。
「これじゃあ普通じゃん」
「別に奇怪さを求めてるつもりはないけど…」
「だからさ、こうしよ」
英二は指差し確認しながら説明した。
「オレが、お前の。お前がオレの影を見る、どう?」
「あ、面白いかもね」
そうしてまた視線を地面に向ける。
外跳ねの髪型が移る影を見つめる。
英二が声を上げてカウントを始めた。
「いーちっ。にーぃっ」
私も加わる。
「「さーんっ。よーんっ」」
最後。
「「じゅうっ!」」
顔を、上に。
そこには、英二の影が……?
「ありゃ?」
「なんかさ、両方写ってない?」
「だね」
相手の影を凝視していたものの、
すぐ隣に立っていたため自然に視界には入っていたらしく。
空に浮かぶのは、二つの白い影。
「参ったねこりゃ。やり直しだ」
「え、どうして?別にいいじゃん」
私が問い質すと、英二はにっと笑って。
「次は、こんな方法で挑戦です」
そう言って、私の手を取った。
驚いて横を見たら、やっぱり英二は笑ってた。
私も笑顔を返した。
二人同時に地面に視線を向ける。
そして、数え始める。
「「いーちっ」」
その数字が、十に達したそのすぐ後。
空に浮かぶのは、一つの白い影。
学校帰りに見えた空が余りに綺麗だったので。
見てたら自然と浮かんだ。キャラも初めから固定。
適任は英二だよね、やっぱりこういう遊びっぽいのは。
しかし、二人の関係が不明だ。微妙すぎる。
雰囲気は気に入ってます。
ところで、影送りって正式な遊びじゃないのかな。
辞書には載ってないんですけど…。
EIVA菊カレンダーの方に投稿させていただきました。(11/8)
2003/10/16