学校では内緒にされているけど、

正式に付き合っている私と国光。


だけどね、あんまりデートも出来ないんだ。

向こうは忙しいみたいだし、私も邪魔したくない。



それが、ね?

今日は向こうから誘ってくれたんだ。


学校帰り。部活後。短い時間。



なんで、こんな時に誘ったんだろうと思いきや。











  * immer geradeaus *












「今宵、お前と身体を合わせたい」


「―――」




国光の家に来た。
部屋に入るなり、言われた言葉。

家族は皆出掛けてて、夜遅くまで帰ってこないと。

「明日も学校はあるからそれほど時間を長く取るつもりはない」と言ったけれど。



まさか、突然そんな時がやってくるなんて。

面と向かってそんなこと言われるなんて。

これっぽっちも思ってもいなかった。
だからちょっぴりドキッとしたけど。

そんなところも貴方らしいな、って思った。



「私は、いつでも受け入れる覚悟は出来てるよ」

「本当か?」


もう一度確認される。

私は頷いた。



国光は息を吐いた。


「気付けば、一年以上が過ぎ去っているわけだ」
「あ…うん」

それは私たちが付き合っている期間だと、すぐに気付いた。


そう。
私たちが付き合い始めたのは、去年のこと。
夏休みが明けて少しした時。

二学期の始まり、夏の終わり。


「正直…あの時はこれほど長く続くか確信は持てていなかった」
「そうなんだ」
「決して悪い意味ではない」

珍しく沢山喋る国光。
私は相槌を打ち続ける。


「何しろ、告白を受けた当初、俺はお前のことを知らなかった」
「えっ?」

初めて聞かされた事実。
私は国光の方を見た。
向こうは頷いた。

「しかし、付き合ってみなければ分かることも分からないと思った」
「………」

「その結果が…この現状だ」


国光がゆっくりと動いた。

肩を掴まれる。
少し躊躇った後、唇を合わせられる。

キスは決して初めてではない。
でも…こんなに熱いのは、初めてだった。


「……んっ…」


意識とは別で零れる吐息。
蕩けるように甘くて長い時間。
無意識に閉じていた目からは涙が流れていた。


「くに、みつ……」




こんなところまで来ても、
やはり正面から真っ直ぐ言ってくる貴方。

いつでも貴方は真正面からだと。


「後悔…しないな?」

「絶対しない」

「その言葉…信じるぞ」

「もちろん」



それから後は…

ただひたすらに熱いだけの時。



全身を愛撫される。

その度に零れる吐息。


幸せだと思った。

真正面から受け止められること。



貴方を想って過ごしてきた多くの夜。

今夜、初めて一つになる。



「痛かったら言え。いいな」

「ん、大丈夫」



宛がわれる熱いもの。

貴方が貴方であって、

そこに居てくれているという証。


「ん、ふっ……ぁ、あん…」

「まだ半分も入れていないが…大丈夫か?」

「解説はいいから…奥まで、入れて…ぇっ!」



与えられた熱に比して高まる私の気分。

国光は低く言う。


「…随分欲心深いな」

「国光みたいには、なれない…」


皮肉交じりのその一言。

聞き届けた国光は…更に身体を奥に進めた。



「ふわぁ…っ!」


「俺も…特に禁欲主義というようなつもりはない」



いつでも欲には正直だ、と。


それはどうかなーとも思ったけど、

答えが出る前に意識が壊れそうになる。


「あ……奥に、ある…感じる」


涙ながらに言った私。

歪んだ視界の先。

国光は…笑った?


瞬きして涙を落とした。

いつも通り。気のせいだったみたい。



…」


「くにみつ…っ!」




そう。

いつでも快楽を求めているの。


真っ直ぐな気持ちのその向こう。



残されるのは“スキ”の気持ちだけ。





  大 好 き 。





…愛している」


「やっ、もう……あぁっ!」





うっ、と国光が小さく唸る声を聞き届ける前、


私の意識は宙を舞った。







  **







目が覚めた時、私はそのままベッドで寝ていた。
隣を見た。

国光…寝てる。

いつもあんな固い顔してるくせに、
寝てるときはこんな穏やかな顔するんだなー。


時計を見ると、8時を回っていた。
私はそろそろ帰らないとマズイけど、
起こすの可哀相だな。
置手紙でもしてこのまま帰りますか。



「……おや?」



メモ紙を出そうと思って開いた自分の手帳。
今日の日にち。

ああ。そうだったのか。


「気付かなくてごめんねー…」


起きていれば届くぐらいに。
寝ていたならば起こさないくらいに。

小声での囁き。



置手紙を書くと、私はその場を後にした。

また明日ね、と心の中で呟きながら。



今日は貴方が一つ大きくなった日。

それと同時に、私たち二人で成長できた日。





『お誕生日おめでとう!
 起こすのかわいそうなのでそのまま帰ります。
 また明日ねっ♪

        即興誕生日プレゼントより』






――きっと、明日に巡り合うのは新しい私たち。






















な ん で す か こ れ は … !(死にかけ)
手塚って難しい。
裏々とかいって更にムズイ。
なんか、手塚って妙なほど改まってそうだなって。
正式に宣言しそうだなーと思って。それだけさ。

前置きが短い気がするぞ…。
こんなに即行で行為に入ったのは初めてかも。(遠い目)
(大石のはちょっと例外ね。あれはああいう文体なの)
まあいいや。これは誕生日を祝うのがメインなの。祝い方半端だけど。(爆)

題名の意は常に一直線ってことで。ホントか?(コラ)

お堅い人には固くいこう。
手塚国光様、お誕生日真におめでとう御座います。これにて御免。


2003/10/04