* dander dandelion *












ゆらゆらと揺れる花。

土手に座って二人きり。




「花の中では」

「うん」


「タンポポが一番好き」

「へぇ」



一回は優しい笑顔を浮かべていたけれど。


微かな変化。

普通なら気付かないくらいの。


悪戯な笑み。




「雑草が好きなんだ」

「う、うるさいっ!」


腕を振り上げた。

周助はそれを手で止め軽く制すと、

「そうやってすぐかんしゃく起こすんだから」と言った。



私はぽつりと呟く。


「いいじゃん。タンポポ可愛いし…」



周助はまたふっと笑う。


私の目を覗き込んで言う。




「うん。可愛い」


「―――」




トクン。


鼓動が脈打つ音。



パチン。


心臓が軽く弾ける音。




「(…って何ときめいてるの自分!)」



そうだ。


騙されるところだった…。



何か一瞬、自分が言われたみたいで……。




「(別に、周助なんかに今更言われたって…)」



「どこでだって、図太く生きてそうなのもさ」


「え?」




目を細めて。


声を洩らして笑ってから。




「ソックリだよ」


「な、何その図太いって!」



誉め言葉だよ、と周助は言ったけど

…どうだか。



ん?ところで、

“それも”ソックリってことは、つまり……。




「(いや、まさか…)」



「あと、ふわふわ飛んでいっちゃいそうなところもね」


「なにそれー!」




それはきっと、貴方がいるから。


私の中のかんしゃく玉が弾けるのは。






―――風が吹いて、少し綿毛が舞った。






















突発的に不二夢が書きたく。
『未知数の感情』から繋がってるのかなぁ。
幼馴染設定のつもりで書いてたんだけど、こっちに繋げるのも有りだね。
相変わらず素直になりきれてないようですね、笑。

題名のdander dandelionを日本語直訳すると、
かんしゃくタンポポです。
響きが近くて面白いと思って使ってみたくて。
ちなみに蒲公英の花言葉は“思わせぶり”っス。

かんしゃく玉=乙女心。笑。


2003/10/02