* かけら集めて *












――平成××年5月12日 並ぶ肩

突然聞こえた機械音。



「ちょっと、ごめんな」

「おぅ」


シュウは机の上の携帯を掴むと、

立ったままそこには居ない誰かと会話を始めた。

「あ、手塚!」とか言ってる。一組の手塚君か。

きっとテニス部の用事だね。部長と副部長だし。


そうか。さっきの単純な機械音は着メロだったか…。

などと考えているうちに、相槌ばかりの会話が終わりにきた。


「うん、分かった。それじゃあ明日な」


ピッ、とボタンを押して会話は終了した。

シュウは「ごめん」と言いながらまた横に座る。


「何の用事?」

「ああ、明日は先生の用事で部活がないんだって」

「お、それはいいこと聞いちゃったな」


頭に音符マークを浮かべる私。

だって、部活が休みなら一緒に居られるじゃん?


「そっちは平気なのか」

「バレー部は月木休みです!」


ピースサインを向けた。

ところで…。


「ね、シュウは着メロって変えたりしないの?」

「あんまりしないな。買ってからそのままだよ」

「えー、折角だからなんか入れなよ。私が決めてあげる!」


強引にそう決めると、シュウの携帯を奪った。


うわー。壁紙も質素なこと!

絶対全部初期設定のままなんだ…。

無駄はなく。機能性のみを重視ってか?


「……ほれ、これでどうだ」


和音なんて面倒くさいので単音だけで曲を刻む。

ぽちっとボタンを押して設定は保存された。


「何を入れたんだ」

「んー、かけらを集める歌」


飄々と答える私。

変な言葉を発した私に、シュウは首を傾げる。


「…題名か?」

「微妙に違う」

「そうか……?」


シュウは画面と睨めっこしてた。

そんなことしたって分かりません。


カケラからのカケラ。

一つ一つゆっくりと。


そんな歌。






















ミラシドシラッラシドレド〜。命名こっぱずソング。爆。


2003/09/28