* 光の扉開けて *












――平成××年3月11日 テニス部

コートの外から見学している私。



「(こんな練習毎日やってるんだ〜…)」


今日は自分の入っているバレー部も休み。

私はテニス部の練習を見学しに来た。


昨日感じた、あの鼓動の正体が気になって。


「不二、ステップ遅れたぞ!」


へぇ、副部長ねぇ……。

…やっぱ、カッコイイ、よう、な。

なんと言いましょうか。


「………」


木に凭れかかる。

そして練習風景をぼーっと見てた。

だけど、目はやっぱり一人のことを追ってるんだ。


その人のことを、じっと見つめてみた。


顔…きっと美形。(私の趣味の問題か?)

髪型…謎。(どうなってるんだ…)

身長…高い。(少なくとも私よりは)

声…よく通る。(投げ掛ける感じで)

印象…爽やか。(逆に胡散臭く感じるぞ…)


結論……合格ラインよりは上だ。


でも、そんなところなの?

合格とか不合格とか、そういう問題なの?


「……理屈じゃないってことかね」


そっと胸に手を当てた。

この胸の高鳴りの正体は、どんな条理をも越えている。


名前なんて、昨日初めて知ったくらいで。

その姿すら、見覚えがあるかないくらいで。

だけど何故か、惹き付けられるんだ。


その気持ちは、新しい扉を開け放った時のよう。

その向こうからは、眩しい光が差し込んでくる。





















さり気ない大不二。否、不二大だ。いや、稲大だ。笑。


2003/09/27