* レモンみたい *












――平成××年5月25日 夢の王国

それはなんだか温かく幸せな世界。



辺りは淡い色で溢れていて、

お花畑があって蝶々が飛んでいて…。


……!」

「ほえ?」


そんな世界から呼び戻される。

ここは…シュウの部屋。


「あたし…いつ寝た?」

「喋らなくなった5分後ぐらい」

「早っ」


時計を見てみると、

2時間ほどが過ぎていた。

恐るべし、自分。

だって、シュウの腕の中が温かくて心地好くて…。


「そろそろ帰るだろ?」

「あ、そうかも」


窓の外を見ると、太陽が傾き始めてる。


「喋りもしないで寝てて、何しに来たんだか」

「全くだよ。折角部活のない放課後だったのに」

「あ……ゴメン」


ふっと笑うと、シュウは「冗談だよ」と言った。

こんな冗談を言い合えるようになったのも、

信頼の証かな?なんちゃって。


「それじゃあ、お邪魔しまし…」

!その前に、これ」

「?」


投げられた小さな包みを掴む。

のど飴。


「喉、大事にしろよ」

「了解っス!」


靴の踵を潰したまま玄関を出て、

それからゆっくりと履き直した。

歩きながら、さっき貰ったのど飴の袋を開けた。

口に放り込む。


「…キンカン味だ」


口内に広がる甘酸っぱい味。

柑橘類だから当然と言えばそうだけど、レモンにそっくり。


「おいし。どこで買ったんだろ。今度教えてもらおーっと」


包み紙をポケットしまうと、

私は「ジャンプ!」して走り出した。





















あんまりお題に沿ってなくてごめんなさい。


2003/09/26