* こんなに好き *












――平成××年5月3日 静寂

会話が途切れた一瞬に、私の中に疑問が生まれた。



気になったから、訊いた。


「シュウってあたしのどんなところが好きなの」


そういえば、まだ聞いてないなって気付いた。

私はシュウが好きで、シュウも私が好きで。

それで付き合うことになったのだけれど。

お互いその理由は話していない。


シュウは照れながらだけど、理由を話してくれた。


「第一印象から、なんとなく気になってたよ。面白い子だなって」

「ホント?」

「うん。正式に好きになったのは…」

「なったのは?」


訊き返した。

シュウはぱっと顔を逸らした。


「…なんでもない」

「えー、寸止め反対!」

「だって…恥ずかしいだろ」

「何を今更」


ごもっとも、とシュウは納得した。

微かに染めた頬で、言ってきた。


「笑顔が眩しいと思って…」


聞いて、思った。

シュウってやっぱり恥ずかしいキャラだ。


「うわー!何それ、恥ずぅ!」

「だから言いたくなかったんだ…」

「いや、ネタとしては最高ですよ!ってネタじゃないか!」


思わず騒ぎ立てる私。


でも…そうか。

眩しい笑顔か。

クサさの極みで恥ずかしいセリフだが…

嬉しい言葉といえばその通り。


「あたしはねー、一目見た時からずっと気になってた」

「そうなのか?」

「うん。なんでこんな目立たない人目で追ってるんだろって思った」


沈黙。


「それって…けなされてるのか、俺」

「いや、誉めてる」

「そうか……?」


首を傾げるシュウ。

正式な答えが出てくる前に、私は割って入った。


「でもね、それからまた二ヶ月ぐらい経って…色々と新しいことも分かったよ」

「俺もだ。まだ、一ヶ月も経ってないけどな」


そっか。

私の方が見てる時間長かったんだ…。

悔しいような、勝ってて嬉しいような。


じゃあ、こうしよう。


「つまり、私の方がシュウのこと愛してる歴長いんだ。勝ったー!」

「いや、長さじゃなくて密度の問題だろ」

「ぐ…」


どっちの方が相手をより好きか、

論争すること15分。

結論は、両者引き分け、ってことで。


でもね、とりあえず変わらないことがあるの。



それは、無限大の好きの気持ち。





















幸せすぎる…なんだこいつら。と、モロ客観視してみる。


2003/09/26