* 朝一番に電話 *












――平成×△年5月5日 机の前

パソコンがメール受信の知らせを鳴らす。



時差とか、電話代とか、

お互いの都合、色々気にしてさ。

電話をするってことは、ほとんどないんだ。

出来るだけ一緒に話していたいっていうのは、あるけど。


電話にて通話するのは、特別な時だけ。

特別な時だけなんだ。

その度に、私は涙を堪えて、時に流している気がするな。


「まあ、悲し涙に限らずね!」


向こうの誕生日の時、

自分から電話を掛けたことを思い出した。


今回はその、お返しかな。


パソコンの画面に映し出された、一通のメールを眺めて頬がほころぶ。


『今夜、起きててな。明日になる瞬間まで』


理由は、すぐに分かった。



突然掛けて驚かせるなんて、シュウはしない。

私がもしその時間にもう寝てたら困るから、

とか色々心配しちゃってメールまでくれる。

それはそれで嬉しいのだけれど。


「なんからしいな」


呟いて、ひとたびシャットダウンした。

ただいま夕方6時、

これから一日の4分の1をどうすごして待ちましょう。


向こうは今夜中。

朝が明けて一番に、電話を掛けてくるのだろう。

その頃、こっちが夜中になる。

眠りから目覚めた貴方と、眠りにつくところの私。


距離を感じたけど、

こんな恋愛も有りだ。

って、今日は何故か強くなれた。



明日へめがけて。




















何だかんだいって自分の誕生日って嬉しい。


2003/09/26