* 考えてみた。 *












――平成××年5月2日 部活後

夕陽が照らす帰り道は影が長い。



考えてみたんだけどさ。


「ねぇ、あたしたちって付き合い始めて何が変わった?」


唐突に質問してみた。

シュウは突然のことに戸惑ってた。


「いきなり振られても…答えに困るな」

「だって、元々結構仲良かったし喋ってたじゃん?」


結構真剣に考えてみる。

前からよくお喋りはした。

笑顔を見たり見せたりの関係は変わらない。


と思ったけど…シュウは簡単に答えを持ち出した。


「呼び方が変わったろ」

「…うん」

「前は一緒に帰ったりしなかったろ」

「そうかも…」


なんでそんなひょいひょい出てくるんだ!?

シュウは凄い。


「それから…」

「?」


ふぅ、と息を吐くと浅い微笑みをしてシュウは言った。


「前より近付けたと思ってるんだけど、俺だけかな」

「………」


そっか。

そういうことか!


「そうだね!あたしたち色々と変わったね!」

「本当に突然態度や話題を変えるな」


くるくると変わる私の行動にシュウはまだついてこれていないようだった。

こんな私の良き理解者は、

小学校からずっと一緒のと、

波長が合っている英二くらいだ。


これから鍛え上げてやる。


「でもさ、もっと近付けると思うんだよね」

「まあ、まだ付き合い始めて…2日目だし」

「そこで!」


少し走ってシュウの前に出ると、

私はくるんと振り返った。

シュウは驚き気味に足を止めた。


「明日!憲法記念日は、さすがのテニス部も休みでしょ?」

「うん、そうだけど…」

「というわけで!二人の更なる交友のステップアップを図るため…」


一歩、歩み寄った。

笑顔。


「デート、しましょ!」


初デートが自分から誘うなんて。

なかなか大胆なことですこと!


「ひゃー、なんか恋人同士っぽくなってきた!」

「…いつでも楽しそうでいいな、お前は」

「うん、楽しいv」


だって、本当に楽しいし幸せだから。

ニコニコと笑う私に、シュウも笑顔を向けてきた。


色々と考えた末には、良い結果が待っているものです。






















人生の教訓。しかしコイツはどうかしてる。←自虐


2003/09/26