* 宇宙から星屑 *
――平成××年8月1日 真夜中
一度は眠りについたにも関わらず目を開ける私。
ドイツといえば、やっぱり日本より随分北だから。
だから…随分涼しいんだろうな、と思ってた。
だけど。
「…眠れない」
さり気に熱帯夜だったりする。
気温自体は日本より低いのかもしれないけど、
エアコンがない分こっちの方が全然質悪い。
ふぅ、と溜息を吐くと私は部屋の窓を開けた。
部屋の中に篭った空気が外へと逃げていく。
少しだけ、涼しくなった気がした。
空を、見上げた。
綺麗な星空が見えた。
日本の都会ど真ん中、東京に住んでた私にしてみれば、
その星たちというのは、空から降ってきそうなほどに思えて。
「…凄いや」
そういえば、冬の部活の帰り道、
歩いていると丁度正面にオリオン座が見えたりしたな。
それでよく、石垣に腰掛けて暫く星を見上げたりしたな。
あの頃は…シュウの存在すら知らなかった。
今私は、シュウと付き合っていて、
でも遠く離れた地で暮らしているんだよね。
今は夏だから、冬とは見える星空は随分違うね。
時の流れというものを、ひどく不思議に感じた。
とりあえず心に強く残ったのは、
宇宙より降り注いできそうな無数の星屑たちのことだけ。
空の色がまず違う。でもスイスはもっと綺麗だったな。
2003/09/25