* 雪うさぎと私 *
――平成×△年1月7日 銀世界
ドイツは寒い割に雪は少ないと聞いたけれど。
「積もってる!」
午前中に降り始めた雪。
学校が終わる頃には、
たったの数センチだけど、積もってた。
嬉しくなって、帰り道私は
雪をたまに手に取ったりしながら歩いてた。
こうしていると、雪だるまを作りたくなる。
アメリカは沢山雪積もったから、よく作ったなぁ…。
「…頑張れば出来るかも」
思って、私は雪玉を作り始めた。
でも、雪だるまを作るなんて、ちょっと大規模すぎる気がしてきた。
「……これでいっか」
私は立ち上がった。
地面に在るのは、真っ白い小さな雪うさぎ。
葉っぱと木の実を乗せた。
なかなか可愛らしい出来だ。
翌日には溶けてしまうのかな、と思うと
余りに悲しくなってしまった。
だけど、春に向かうのは嬉しいことだから、許しちゃう。
冬のこの寒さの間。
たったそれだけだけど。
私は君が好き。
指先で自分が作ったうさぎを小突いた。
何かと重ねてるんでしょうよ。
2003/09/25