* 悲しみの花束 *
――平成×△年3月20日 卒業式
3年間通ってきた学校ともお別れ。
久しぶりにみんなと過ごした時間。
別れのために来たんじゃなくて、会いに来ただけ見たいな気分。
だけど、今日で終わり。
みんなは来年も続くんだけど。
そう思うと、余計悲しくなった。
世間ではやれ戦争だと騒いでいる中、
体育館に座っているだけの自分は
随分平和というか、呑気なものだなーと思った。
卒業の歌も終えて、体育館から退場。
後輩の参列の中を歩く私は笑っていたけど。
目に浮かんだ涙も偽物ではなかったはず。
「ご卒業おめでとう御座います」
後輩と思われる子に言われた。
知らない子だ。
何事か、と考えていると花束を差し出された。
そうか。係りの子か。
漸く理解した。
「ありがとう」
花束を受け取った。
にこりと笑ったその子が可愛かったので、
私も頑張って笑顔を作った。
綺麗な花束。
いい香りがする。
だけど、悲しみも沢山束ねているような気がした。
花は、美しいが故に薄命だから。
実際はバレー部の後輩だったんですが。そして花束ではなくバッチだったね。
2003/09/25