* 明日もデート *












――平成××年5月3日 日暮れ時

照れているようで浮いている手が少し涼しい。



暫く街を散歩して。

ぎこちないながらも会話を交わして。


幸せな時間ももうすぐ終わり。


世界を包むオレンジ色の光。

伸びる長い影。


ついに分岐点へやってきた。

貴方は左、私は右へ。


「今日、楽しかった!」

「俺もだよ」


笑顔が重なる。

嬉しい。


「それで…さ、テニス部って明日午前中だけなんだよね?」

「よく知ってるな。そうだよ」

「それじゃあ、午後は会えるかな?」


訊くと、

向こうはまた笑った。


「ああ、大丈夫だよ」

「それじゃ、また明日ね!」


今日が終わっても、明日がある。

それって、どんなに幸せなことなんだろう。


いつかはそれが普通になっちゃうのかな。

でも、何もかもが新鮮な今は、

また明日があるというだけでこんなにも幸せ。


明日もデート、明日もデート。

その言葉を頭の中で繰り返しながら、

私は一人の帰路へついた。




















それが当たり前になりまた尊いものに戻る。


2003/09/24