* デザートに桃 *












――平成××年5月3日 憲法記念日

付き合い始めて3日目、初めてのデート。



時間ギリギリで飛び込んだ待ち合わせ場所。

そこにはさも当然かのように貴方が居た。


「ごめん、遅くなっちゃった!」

「いや、俺も今来たところだよ」


そういって笑顔を向けてくれたけど、

本当はずっと前から待っててくれたんだろな、なんて。

ちょっぴり罪悪感も感じちゃったりして。


っていうか、今のセリフ。

ちょっと恋人同士っぽかったよね。


「…で、どこ行こうか」

「え、と…喫茶店、とか?」

「そう…だな。うん。そうしよう」

「そうしましょう」


このぎこちなさは、

初々しいカップル独特の気もしますが。


カップル…いい響きだ。



そんな訳で、私たちは喫茶店にいる。

オシャレな雰囲気のお店。

店員さんたちも可愛い制服を着てるし、

店内で流れる曲は西洋をも思わせる。


「よくこんなところ知ってるね…」

「偶然見つけたんだ」


へー、と私はきょろきょろと辺りを見回す。

すると、ウェイトレスさんが先ほど頼んだメニューを持ってきた。


「コーヒーにホットココアです」


私たちの前に、一つずつ飲み物が置かれる。

可愛らしいマグカップから立ち上る湯気を見た。


なんとなく二人の間には沈黙。

聞こえてくるのはワルツ風の音楽。


「なんか…緊張しちゃうね」

「そんな固くならなくてもいいのに」


緊張、っていうのはぁ…。

多分…初めてのデートだからなんだけど。

それを分かってるのか?向こうは。


まあいいや。


「見た目だけじゃなくて味もいいね、このお店。気に入っちゃった」

「それは良かった」


シュウは笑った。

それだけで私も幸せだ。


「…さてと!ここはパーっと食べ物でも頼むかな」

「突然態度変わったな…」


メニューの本を持ってきてもらおうかな、

と思ったけどテーブルに置いてある『当店お勧め』を頂くことにした。

数分後にやってきたのはピーチパイ。

珍しいな、と思いながら頬張った。


「シュウも食べる?」

「いや、俺はいいよ」

「そっか」


小さなフォークでパイの一端を切って、口に運ぶ。

それだけでいい香りが漂った。


なんか、幸せ…だな。






















まだまだぎこちないなぁー。


2003/09/24