* 青い空の雲は *












――平成××年7月9日 火曜日

本当だったら部活があったはずのその時間。




今頃、1,2年は練習してるのかな…。

………畜生。



「コンタクショー!!!」



自分で作り上げた造語を叫びながら、

バレーボールをアンダーで高く高く打ち上げた。


普段は小学生などで賑わっている公園。

今は誰も居ない。


叫びたいだけ叫んで、

打ち上げたいだけ打ち上げた。



思い出すのは、一昨日の試合。

実力ではうちが勝っていた。

でも、会場の雰囲気に飲まれるうちに、

相手を調子付かせてしまい、コンビネーションも…。


「うわぁ〜〜〜〜!!!」


周りに人は居なかろうと、

きっと近所中には響き渡っているであろう自分の声。

上空10mほど飛び上がったであろうボールは、

青い空の中では映えて見えた。


それもまた、時間が経てば降ってくる。

打ち上げたその位置、腕の真ん中にぴったり帰ってきた。


「へーんだ」


いじけ気味に呟く。

服が汚れるのも気にせず、どさりと地面に座り込んだ。


関東大会まで行けなかった。

ずっと夢見てたこと。

都大会が、限界だった。

いや、限界じゃない。

もっともっと可能性はあったはずなのに…。


「悔しいな…」


呟いて、だけど考えた。

もし関東まで進んだら、2週間後。

7月21日。引っ越し5日前。


「どっちにしろ、出れなかったかもねぇ…」


そう考えると、最後まできっちりと出れて良かった気さえしてきた。

だけど、なんかやっぱり、悔しいや。


空を見上げる。

白い雲が浮かんでた。

さっきボールがそうであったみたいに、

青い空の中では白い雲は映えて見える。


眩しいくらいの青。

浮き出て見える白。


いつでも遠くに見えるそれが

特別綺麗に感じられた、そんな日。





















区民大会も出たかったけどな。


2003/09/23