* 結婚しようよ *












――平成××年5月6日 外は晴れ

ベッドの上、壁に凭れかかる私。



シュウが部屋に帰ってきた時、

私は一人腕を組んで考え込んでいた。


、どうした?そんなに考え込んで」

「うん。それなんだけどね…」


組んでいた腕を解いて。

横に座り直した(さっきより距離が遠ざかってる、わざとだ!)シュウを向いて言った。


「先ほどまでの話で色々と考えてしまってねぇ」

「色々ってなんだ…」

「いやー、大石って響き的にどうかなとか」


ピシっ。

今度は素敵な効果音、擬態語で。


「あの、シュウさん……?」

「なんかだんだん疲れてきたよ…」

「あ、いやん!」


額に手を当てるシュウ。

私は肩に手を乗せて揺すった。


「でもさ、どうだと思うよ?」

「う、まあ…いいんじゃないか」

「真面目に考えてる!?将来本当にそうなりかねないんだよ!」


言ってから、自分が相当大胆なことを言ってることに気付く。


「お前…自分で何言ってるか分かってるか?」

「多分大体は」

「……」


完全に呆れ返るシュウ。

更に駄目押し。


「だって、シュウだって秀一郎になる気はないでしょ?」


ガラガラン。

今度は石化したのが崩れていく音が聞こえた。


「それは、本気で言ってるのか?」

「相当マジ。常に本気」


シュウはついに溜息を吐いた。

別に嫌がってる風でもなかったけど、

私に振り回されて疲れてしまったらしぃ。


そこまで言っておいて、私は自分の考えを纏め直すことにした。

将来、本当に結婚するのかな、なんて。

まだまだずっと先のことだから、分からないけど。

初恋の人と、初めて付き合って、結婚だなんて…。

そんな上手く行くとも思ってないけど。


でも、私はやっぱり、シュウがいい。


そして、プロポーズの言葉はさ、

結婚してください、なんて一方的じゃなくてさ、

一緒の墓に入りましょう、なんて遠回りでもなくてさ。


結婚しようよ、みたいに

二人で軽く総意できような、そんな言葉が欲しいな。


なんて、ただの夢見かも知れないけれど。





















ハイ。夢見すぎですね貴方。←自虐


2003/09/23