* 何でもいいよ *












――平成××年5月6日 シュウの部屋

今年の誕生日は非常に幸せなものになってます。



「あ、そういえば…」

「ん?」


先ほどから変わらず肩を寄せ合っている私たちですが。

シュウは何かを思い出したようで、こっちに顔を向けた。

体を捩って体制を変えたので、間に少し隙間。


「俺も、この前誕生日だったんだよな」

「……はぁ!?」


思わず私も体制をガバッと変える。

二人の間に大きめの隙間が出来た。


「ちょ、聞いてないよ!」

「当日はそれ以上のことがあったから…」

「何よ、誕生日より大切なことがあるの!?」


思わずムキになって訊くと、

シュウは顔を逸らしながら。


「…俺達が付き合い始めた日だよ」

「………おぉ!」


なんていうことか。

私は驚きが隠せなかった。


私は、シュウの誕生日なんてその時知らなくて。

ただ、溢れんばかりの思いを伝えたくて。

それで呼び出しを掛けたんだ。

で、結果付き合い始めることとなった。


それがまさか誕生日だったなんて!


「これってもしかして…愛?」

「かもな」

「ひゃー。なんかすごぉーい」


体を元の位置に戻した。

また、肩と肩がくっ付いた。


「じゃあさ、シュウもなんか欲しいものあるー?」

「特にないよ」

「えー、それって逆に愛がなーい」

「そ、そうか…」


私の言葉に、シュウは戸惑って。

ちょっと考えると、こんなことを言った。


がくれるものだったら、何でも嬉しいな」


…クサイ。

クサイっスよ秀一郎さん!

でもカッコイイから許します。


「何でもいいってのが一番困るんだよね、実は」

「でも、本当になんでもいいから」


少々焦った風なシュウ。

私は顔を斜めから見て。

それで、小さく笑った。


「じゃあ、さん特性の愛を捧げます」

「それはいいな」


シュウは笑った。

この笑顔、私も嬉しい。


貴方の誕生日は、二人の記念日。

私の誕生日では、二人の祝日。

お互いの幸せをかみ締めることが出来た日。



貴方さえ居れば、他は何でもいいの。






















甘々を通り越してゲロ甘ですが。


2003/09/23