* 手を出すな! *












――平成××年5月6日 おやつの時間

温かな陽気と優しい笑顔。



笑い合うこと、暫しの時。

幸せな時間。

ずっとこうして居たいなと思う。


「シュウー」

「ん?」

「さっきさ、誕生日プレゼントに愛をあげるって言ったけど」


単刀直入に言う私に、シュウは一瞬固まっていたけど。

照れた風な表情で、訊いてきた。


「それが…どうしたんだ」

「うん、なんだけどさ」


私も乗せられて話す。


「どのような方法で愛を形容すればいいかと」


どた。

シュウがずっこける音が聞こえた気がする。

漫画だったら絶対効果音が付けられてる場面。


「あの、…?」

「だって、そう思わない?どうすれば愛を受け取ってくれる?」

「………」


シュウは固まっていた。

顔が軽く赤いです。

そうさせてるのが自分だと思うと申し訳ないような楽しいような。


「愛〜あい〜…どう?愛オーラを送ってるんだけど。届いてる?」

「そう言われると届いてるような…」

「ダメだ!愛オーラは受信したらビビっとくるはず。失敗だ」


ついにシュウはなんの反応も示さなくなった。

少々呆れているようである。

でも私は本気なんですよ。


「こうなったら…色仕掛けでもしてみるか?」


ゴン。

今度はただの効果音ではあらず。

擬声語です。

実際にそのような音がしました。

がくっと後ろに倒れた首が壁に当たったようです。

大丈夫か、後頭部……。


「あの、シュウ……」

「…お前、本当に突飛な発言得意だな」

「得意とかそういうものかしら」


悩む私。

シュウは頭の後ろを撫でてた。(やっぱり痛かったらしい)


「あ、でも私は16歳まで手出し厳禁だから」

「そ、そうなのか…」

「うん。だからあと一年待ってね」

「それって、一体どういう意…」


分かってるんでしょ、と私はシュウを肘で小突いた。

向こうは更に顔を赤くして、俯いた。


「法律で女性は16歳から結婚有りなんだから。いざとなったら子供もOKだよ!」

、何を…っ!」

「あ、でもその時シュウもまだ16歳か。参ったねこりゃ」


はははと笑う私。

上目遣いに見上げる。

向こうは顔真っ赤。


、ちょっと…」

「おうおう。言わずとも分かるわ。行って来い」

「ごめん…」


シュウは部屋から消えた。

頭を冷やしに旅立った模様。


「全く、お盛んだねぇ」


それは自分か?とも思うけど。



まだまだ若さ驀進中。






















ごめん大石……。


2003/09/23