* 二人でいよう *












――平成××年6月19日 早朝

遠ざかっていく貴方が見えて夢から覚める。



「………」


顔の前に腕をかざす。

カーテンの隙間から差し込む陽光が眩しい。

今見た夢をふと思い出して、

パタンと腕を落とした。


怖いな。

離れていってしまうことが。

遠くない将来、そうなってしまうことが。


ずっと一緒に居たい。


ゆっくりと体を起こす。

頭は少しぼーっとしてる。

無意識のうちにタンスまで行って、

考えも無しに着替え始める。


日々の生活で仕込まれた行動をこなす。

その動きはまるでロボット。


だけどね、ロボットと私で違うこと。

私には、気持ちがある。

それが良かれ悪かれ、それは事実。


一緒に居たいと願うこと。

それもまた大きな気持ちの一つ。


昨日交わした、楽しい会話。

一昨日に見た、貴方の笑顔。

そのまた前に、感じた体温。


一緒に居れば、強くなれる。

二人で居れば、何でも平気。



1…2…3つ数えて飛び出せば、

扉の前には、きっと貴方が。


だから私は、笑顔を向ける。

貴方のそれに負けないために。



一緒に居れば、怖くないから。

二人で居れば、元気で居られる。


だから、出来る限りは二人でいよう。



 「おはよう!」






















ともに過ごしている間は苦しみを忘れる。


2003/09/23