* 太陽が照らす *
――平成××年5月6日 夕方
夏に向かい始めている今の日はまだまだ長い。
「それじゃあ、また来るね」
「ああ。気を付けて帰れよ」
色々とあった破茶目茶な一日でしたが、
どうやら平和に終わりそうな予感です。
「それじゃー明日学校でっ!」
明日はテニス部朝練あるから、
登校は別々になる。
それを承知の上で私はそう言った。
手を振った。
向こうも振り返してくる。
それが嬉しくて、後ろ向きで歩いてた。
シュウが固まって目と口を見開くから何かと思ったら、
私はゴンと電柱にぶつかった。
咄嗟に振り返ってごめんなさいをする私を見て、
シュウは玄関の前で笑ってた。
私も仕方無しに笑い返して、
前を向いて歩き始めた。
太陽は、まだ高い位置にある午後6時。
もうそろそろ赤くなり始める頃かもしれないけれど。
既にちょっとだけ、濃い黄色になりはじめてるかな。
眩しい陽光。
クリーム色の雲。
薄く白を被った青空。
全ては、太陽が照らした一日の中に。
青春って感じがする。
2003/09/23