* 飛び出そうぜ *












――平成××年6月2日 体育館

ただいまバレーの試合の真っ最中でござい。



「チャンスボール!」


ベンチから声が響く。

自陣に向かってくるのは、

緩やかな弧を描く白い球。


っ」

「オッケ」


私がレシーブ。

軌道は普段より高め。

軽くステップを踏むのは、

セッターである


「行っけー!」


私が叫ぶのと同時、

は相手コートにスパイクを決めた。


「きゃー!やった、

「へへ、私だってたまにはスパイク打ちたいもんね」


名コンビと言われる私と

普通、バレーの名コンビといったらセッターとアタッカーなんだろうけど、

私たちは違う。


レシーバーとセッター。

守備から攻撃へ繋ぐもの。

だけど、たまには守備を直接攻撃に移す。


!ツーもいいけどさ、今クイックのチャンスだったのに」

「あ、ごめんごめん」

「つい…ね」


手を合わせて喜んでいた私たちに、

アタッカーから苦情がきた。

軽く謝りながら誤魔化すと、向こうは苦笑した。


「ま、それでこそ我が部の名コンビだけどね」


私たちは顔を合わせて笑った。

審判の笛が体育館に響いて、私は相手コートへサーブを放った。



二人で力を合わせたら

大きな世界へ飛び出して行け。






















部活のお話も書いてみたくってさ。


2003/09/22