* 四葉に願いを *












――平成××年6月8日 晴天

雲一つない青空の下に私たち二人は居る。



散歩してきてやってきた野原。

私は先ほどから地面に這いつくばっている。


、手伝おうか?」

「ダメ!意地でも自力で見つける!!」

「はいはい」


苦笑するシュウ。

私が何をしているかと言うと…

四つ葉のクローバー探し。


見つけたものには、幸運が訪れるとされている。



「どうだ、ありそうか?」


寝転がったまま顔を向けてくるシュウ。

私は答える。


「絶対見つける!」

「…返事になってないぞ」


シュウは笑った。


「で、それを見つけてどうするつもりだ?」

「うーん…なんていうか、嬉しいじゃん」


そう。

実ははっきりとした理由なんてない。

見つけたいから見つける。以上。


そんないい加減な私の考えに、シュウは苦笑する。


「目的があるわけじゃないのか…」

「目標は見つけること!それだけで充分」


しかし、見渡しても見渡しても葉っぱは三枚。

そろそろ諦めか?と思った時。


「あ」

「へ?」

「……あった」


起き上がったシュウの指には、

四つ葉のシロツメクサが摘まれている。


「うぇっ、どこにあった!?」

「いや、視線を横に向けたら、丁度……」


なんということか。

その小さな植物を受け取りながら、そう思った。


「…四つ葉が幸運をもたらすっていうけどさ」

「うん」

「幸運がないと、見つけられないよね」

「…そうともいえるな」


シュウは申し訳なさそうに笑った。

その表情を見て、私はなんとも言えぬ気持ちになる。


…そうか。

そうなのか。


「そういうことか!」

「え、どうした?」


突然叫ぶ私に、

不思議そうに覗き込んでくるシュウ。


私はペロっと舌を出して。


「ヒミツ」

「なんだ、それは…」


眉を潜めるシュウ。

でも、これは教えてあげない。


私の中で生まれた方程式。



四つ葉のクローバー=幸運=大石秀一郎。



シュウと一緒に居られる限り、

私は幸せだってこと。





















なんて勝手な…笑。でも遠からず。


2003/09/21