* 二人で歩こう *












――平成××年7月25日 夕暮れ

横断歩道も声で、歩く並木の川沿い。



「…よく、我慢したな」


感心したようで息を吐きながら言うシュウ。

その横で、私は……


「だって…あの子とは、ぜた…い、笑顔で、ぉ別れ…っ!!」


…大泣きしてます。



最後の最後まで、泣き顔は見せなかった。

抱き合ってそのまま、涙を零してしまおうかと思ったけど。

だけど、涙は瞼の縁でぐっと押さえた。


体を離して。

目も鼻も真っ赤にしてるなぎを指差して笑って。


最後まで笑顔で居ることが出来たんだ。



「本当に、仲良かったもんな」

「うん。シュウよりずっとね」

「…どういう意味だ」

「いいの!!」


何故か突然怒り出す私。

既に自分の言っていることがなんなんだか分かんなくなってきてます。


「折角だからもっと泣いとくね」

「…どうぞ」

「うぎゃぁー!!」


叫びながら、私は泣いた。

これが本当の泣き叫びというのかは知らないけれど。


だって、さ。

いくら涙を流しても、

最後は笑顔で終えたい人との別れが、

まだ残ってるからさ。


私の元気の素は、向けられるその笑顔だから。

私もそれに、応えられるようにしたいんだ。



「…叫んだらすっきりしてきた」

「それは良かったな」


落ち着いた私。

シュウは私の手を掴んだ。


手を繋いで歩く。


嬉しいひと時。だけど、

離れる瞬間のことを考えると、

何故だか妙に冷静になってしまった。



とりあえず、その時が来るまで。


あとちょっとの間、二人で歩いていよう。






















それぞれ何かを夢を見ながら二人は歩いていく。


2003/09/21