* まだ途中だよ *












――平成××年5月18日 土曜の午後

部活が偶然にもお互いなくて、公園に来た。



「特等席ゲットぉ〜」

「いつから特等席になったんだ」


空いたブランコを見るなり飛びつく私に、

シュウは苦笑に近い声で訊いてきた。


膝で立ち乗りしながら、私は答える。


「だって、ここに来たらこれに乗るって必ず決まってるもんね」


それもそうだな、というとシュウは隣の空いてる方に座った。

何だかんだいって、この体制はいつも同じだ。


しかし。


私たちが高度な会話(※世間話)中だったにも関わらず、

突然横から声を挟まれる。


「おい、おばさん」

「お、オバサンっ!?」


そこに居たのは、小学生と思われる少年。

キャップを被って膝小僧に絆創膏。いかにもって感じ。


それにしても今のセリフ。聞き捨てならないぞ!?


「今…なんて言ったかね君!」

「大人の癖にブランコなんか乗るなよ。どけ」

「ぬわんですってぇ!?」


思わず殴りかかりそうになる私をシュウが押さえる。

私はそれを振りほどく。


「言っとくけどこれでもまだ中学3年のピチピチギャルなんだから!」

「知らないよ。オ・バ・サ・ン」

「だからオバサンじゃないって言ってるでしょ!くそがきゃぁ!!」


言葉遣いがどんどん荒くなっていく私の手を引くシュウ。

そのまま私たちは公園から退場した。

最後の最後まで私は叫んでいたけれど。



「なんだ、さっきのクソガ…」




形相を恐ろしくして力む私を、

シュウは名前一つで制した。

冷静さを取り戻した私は、一言。


「……お坊ちゃま様々は」

「それは頑張りすぎ」


突っ込まれる。ぷぅ。


「普段は小学生に間違えられるのに…」

「じゃ、いい体験だっただろ」

「全然よくないわ!大体さ、制服着てるんだよ!?」


騒ぎ立てる私に対して、シュウはいつでも穏やか。

悔しいくらいに。


「確かに、まだまだ俺たち子供なのにな」

「ホントだよ」



まだまだ子供。

まだまだコドモ。


それに捕らわれてる辺りも、また幼いのかな?


大人にはなれてない。

でもいつまでも子供ではいられない。



現在成長過程推進中。






















子供≦自分<大人って感じで。コドモ以上オトナ未満。


2003/09/18