* 朝日を見よう *
――平成××年7月28日 暁
時差ぼけの都合で早く目が覚めました。
パッと目を開けると、いつもと違う天井。
これからはこれが普通になるのかと思うと、
不思議な感じがするし、なんだか寂しい。
飛行機の中で熟睡できなかった都合で疲れていた昨日と違って、
一日ゆっくり休んだ今日は時差ぼけも後押しして早起き。
時計を見た。まだ6時前。
ベッドの中から抜け出した。
ドアを開けて、抜き足でリビングルームへ向かう。
まだ薄暗い空。
朝日が出るのは、もうちょっと後。
大きな窓から見える視界は、開けた空間。
その向こうにあるのは森林で、
そのまた向こうには教科書にも載っているライン河。
今までとは随分違う環境に、途方に暮れた。
少しずつ明るみを増す空。
もうそろそろ、朝日が昇る。
空間は開けている割に、
方角の都合で太陽の実体は掴めない。
だけど、浅葱へと向かう藍の空を見て。
微かに橙に光る東の地平線を見て。
日本から周ってきた太陽だ、と嬉しくなった。
今頃日本では真上に見えるはず。
太陽は凄い。大きいな。
こんなに離れているのに繋げてくれる。
夕方は、日本に向けて送り出してやろう、と決めた。
離れてても同じ空の中に見えるんだもん。太陽って凄いや。
2003/09/18