* 君との帰り道 *












――平成××年7月12日 本日は晴天ナリ

日が延びた帰り道はまだ太陽が高い。



シュウはニコニコしてて嬉しそう。


「なんか嬉しそうだけど、いいことあったの?」

「いや」


否定の言葉を入れつつもまた破顔して、シュウは言った。


、また最近元気になってきたなと思って」

「そう、かな?」

「ああ」


やっぱり私、最近元気なかったかな?

今は元気になってきたって言われたけど。


腹を括ったとでもいうのかしら。

終わりの時が、近付いているはずなのに。

何故か心は穏やかになっていく。


それもまた、崩されるのかと思うと怖いけど。



「何言ってるのさ、シュウってば!あたしはいつも元気でしょうが」



笑ってそう言うと、シュウは微笑をした。


「そうかもな」


その笑顔は、なんだかちょっぴり哀愁を漂わせていたけど。


いつも元気。

そのつもりなのは、私だけなのかな。


「やっぱり心配事があったんだろ」

「さあね」

「今はもう大丈夫なのか?」

「だからなんともないって!だいじょうぶー、ダイジョブっ!」


向こうを安心させるために、自分に言い聞かせるように、

同じ言葉を2回繰り返したけれど。


シュウの表情が曇ったのは、気のせいかな?



「でも…何か俺に伝えることがあるっていってたよな。それはもういいのか?」

「あ……」


そうだ。

いくら元気になっても。

笑顔を作れるようになっても。


真実を伝えるときは必ずやってくる。



「そのことなんだけどね。話があるから、このままうち来てくれる?」

「分かった」


シュウは頷いた。

ついに、本当のこと伝えるんだ。


カレンダー。

バツをつけるのがあと10回そこらだと思うと、

突然怖くなった。



二人で歩いているだけの帰り道が

儚く遠いものに思えた瞬間。






















少しずつでも着実に時は流れて行く。


2003/09/18