* 怒っちゃやだ *












――平成××年5月27日 空は快晴

だけど心模様は雨模様、嵐の予感。



「だーいじょーぶー?」


空に向けて問い掛けた。

だけど返事は勿論来ない。


足元に視線を向けた。

ぶらぶらと宙に浮かせた足を揺らした。


じわりと視界が歪んだ。

瞬きで掻き消してやった。



思い起こすが30分前。

教室に遅くまで残って、委員会の仕事をする貴方に。


『最近疲れてるでしょ』


私はそう言った。

貴方は、「疲れてないよ」と一言。

本当に?と訊くと、本当だよ、と。


視線すら合わせてくれない貴方に、身を乗り出して。


『手伝えることあったら、やるけど?』


そうしたら、貴方は一言。

強く。



『大丈夫だって、言ってるだろう!』




…初めてだった。



そんな顔をされたのは、初めてで。

普段が優しいだけに、驚いて。

力が込められた語調が、怖くて。


痛かった。




「全然ダイジョウブじゃないじゃん」



足をゆらゆらと揺らした。

少し勢いをつけた。

金具が、キィと音を立てる。



「シュウのバカヤロー!!」



思い切り叫びながら漕ぐブランコは、高く。

高く――そして大きく弧を描く。



怒られたから?

ううん。


「私がいるのに、無理しないでよ…」


叫んだって、呟いたって。

どちらにしろ伝わらないのは同じ。



怒らないで。

無理しないで。



そんな貴方を見るのは、何よりも痛い。






















大石ってすぐ抱え込みそうだし。(スペシャルサンクス*ピノ様)


2003/09/17