君のてのひら
――平成××年5月8日 もうすぐ夕暮れ
教室の中は穏やかにオレンジ色。
紙にペンを走らすその手を見て、思ったこと。
「シュウの手ってさぁ…」
「ん?」
こっちを向かずに書き続けながら返事をする貴方に一言。
「大きいよね」
「そうか?」
返事だけは一応返してくれる。
だけどなんだか物足りなくて。
「ほら、あたしのと比べてごらんよ」
「ん?」
右手を無理矢理手に取った。
そうしたらシュウはペンを離した。
手の平と手の平を、合わせる。
「見てよ。こんなに違う〜」
「体の大きさが違うから当たり前だろ」
そっか。と呟くと、
シュウは手を離して再びペンを手に取った。
そんな平常心な貴方は、気付いてないだろうな。
合わせた掌に、私が思っていたことなんて。
大きいだけじゃなくて、温かいなって。
それだけで幸せ。
手と手の皺と皺を合わせて幸せ?
2003/09/17