* just you *












事件から数日。
テニス部2年一同(というか一部)は2年B組へ来ていた。

力む内村と桜井。
宥める石田。
なんとなくそこに居る伊武。

「そうか…アイツがこの前の……」

食って掛からん勢いの桜井。
石田が肩を押さえた。

「頼むから、突然殴りかかるとか止めてくれよ」
「何言ってんだ。お前が爬虫類が苦手だって教えてきたくせに」
「……」

何だかんだいって、全員森君のことが心配らしいです。


暫く様子を観察する一同。
中で、その少女は友人と会話をし、
明るいな笑顔をキラキラと振り撒いている。

内村が鼻で笑うように軽くあしらって言った。


「ふん、顔は並ってところか…」
「可愛い子だってクラスでも人気があるんだ」

「………」


なんともいえないタイミングで切り返す石田。
桜井が言う。


「どうせ、見た目重視のやつなんて頭が軽いんだろ」
「この前の中間、総合点クラスで3位だったらしいぜ。塾とかいってないのに」

「………」


固まる桜井。
伊武がぼそっと呟いた。


「性格悪いとか…」
「明るくて元気な子なんだ。来年の生徒会長候補だよ」

「………」


やる気のなさそうな目を更に細める伊武。


暫しの沈黙。
桜井が石田に突っ掛かった。

「お前どっちの味方だよ」
「だって、本当のことだから…」

「よう、何の話だ?」


いがみ合っているうちに、教室内から神尾がやってきた。
(遅れて登場する辺りやられ役/こら)

力むあまりに桜井が神尾のことを指差し、言った。


「神尾!ちょっとあの子呼んで来い」
「え、あの子って……アイツ?」
「そうだ。いいから行け」

扱き使われる神尾。
しかしその子が杏と喋っていたため、
楽しそうに二人に割って入った。
(そしてそのまま会話に花を咲かせていた)

まあ、そんな訳で例の少女参上。


「え…と、あの……」


今にも食って掛からんとしてる奴。
リーゼント風の奴。
長髪で目付きの悪い奴。
穏やかそうだけど巨体の奴。

少女は身に危険を感じた。


「私に何か用…です、か?」


顔馴染が居るため同い年ということは悟っていたようだが、
思わず敬語になってしまうほどの怯え具合だった。

ぴりぴりとした雰囲気を宥めるため、石田が割り入った。


「別に、大したことじゃないんだ。ただ、君と森が…」
「森くん?」
「あ」

石田は気付いた。
素晴らしく自分が本日のメインポイントを明かしてしまったことを。

内村が後ろでに持っているヤモリのおもちゃを突然取り出した後、
慌てふためいているところを「これ以上森に近付くな」と言い残して
カッコよく後姿を見せて去る、という作戦は失敗に終わった。


皆ヤケを起こし始めた。
内村が詰め寄る。

「そうだ、お前森とはどんな関係だよ」
「まさか付き合ってるとかいったら怒るぞ」

桜井も詰め寄った。その時。


「そんなことっ!全然ないないっ!!」


少女大赤面。
手を目の前でわたわたと振って否定した。
なんとも可愛らしい仕草。

固まる一同。

でも引かない。


「大体お前な、あれなんだよ!あれ!
 その…あの……だぁーくっそぅ!」
「そういえば…うちら去年同じクラスじゃん」
「俺の方が身長高いな」


折れた。


だけど気付いた。


「…って違ぇよ!森のことはどう思ってんだよ」


頭の高さを見比べていた内村が声を張り上げた。
少女は小さな声で言う



「森くんのことは、そんな…別に……」



その赤い顔と逸らした視線で、皆気付いた。
(ここに居る集団は森ほど天然なお鈍さんじゃない)



一瞬の沈黙。




桜井が手を上げていった。



「またな」



ほぼ無表情。

内村と桜井は左へ、伊武は右へ。
方向転換して去っていく3人。

石田と少女はその場に残されたが、共に教室に入った。




内村と桜井は話す。


「意外と悪い奴じゃなかったな」
「ああ」

「………」



「なんか森が憎らしくなってきた」
「同感」


意気投合。




その頃伊武。


「へぇ…森のやつ…なんだよ。いっつも美味しいところばっかり持ってってさ…。
 もっと苦労するべきだよね。ちょっと面白いやつかもとか思ってたけどさ…」


ぼやき勃発。





ちなみに石田は教室で一人、その子と楽しい会話を繰り広げていたりして。
(後に杏に「顔赤かったわよ」とかからかわれる運命にある)







何も知らない森くんは、少女に「命に気をつけてね」なんて伝えてしまったりして。






森を締めるつもりで部活に出て行った一同だが、
部活にいって顔を見た瞬間に
「やっぱり森だよな」「うん森だよな」という話になってみたり。
(戻るべきところは常に同じ)






どうなることやら、不動峰中恋愛事情。






















こんな展開で終わる。(爆死)
微妙?ごめんなさい。微妙な話なんです。

最終的に、結局森君と少女がくっついたりしちゃったりして。笑。
二兎を追うものは一兎を得ず、の代表例でした?(疑問系)

ドリームにする予定だったのに、
ギャグだから名前出すより敢えて少女扱いで…ってことでやめた。

勿論『only me』と対になってます。


2003/09/09