* step by step *












手塚と大石、部長と副部長。

二人はいつも、並んで歩く。



練習試合。

大会。

遠征。

テニス部で学校外に行くときは、二人はいつも横に並ぶ。


その後ろを、僕が歩く。

そうするとそのまた後ろから声が掛かったりして。

その声の主は、たまにタカさんだったり、英二だったり。


「不ー二っ」


今日は英二だ。



「なに空なんか見上げて歩いてるの?」

「空……か」



訊かれて、思わず零れた微笑。


自分は無意識に、前を行く頭を見上げていたのだと。

正面を凝らせば広い背中に当たる視線を、少し持ち上げて。



そのまた先に写る空も、一緒に見上げていたのかもしれない。




「なんとなく。雲が形を変えるのを見たりね」


「そっか。あ、あれとかタイヤキに見える!」



ほら、と指差す先には大きな入道雲。

青の中の白は、映えて見える。


「どちらかというと尾頭付きの鯛じゃない?」

「うわ、不二はいうことが豪華〜」

「そうかな」


もう一度、空を見上げる。

視界の端に掠めるように見えるものも意識に入れて。



そうか、いつも見上げていたんだ、と。

その時初めて気付いた。


後ろから歩いて、追うようにしていたのだと。




君の歩調から少し遅らせて歩く癖がついていたのだと、

その時初めて気付かされた。






















題名『step by step』はみんなの歌より。あは。

「不二、ステップ遅れたぞ」に萌えるあまり…。(2回もかよ/絶対わざとだ)
どう繋がったのかは自分で不明。笑。

題名は、とあるフレーズと対になってますね。
大石絡み、といってしまえば簡単かな?
ついでに、毎朝流れているみんなのうたの題名だったり。(爆)

雰囲気的にはこの話気に入ってます。
不二大万歳!


2003/08/21