* surroundings *
「マサや〜ん!」
教室中に響き渡る声に振り返る。
そこに居たのは桃だった。
アイツはいつも元気だけど、今日はいつも以上に元気な気がした。
おれが荒井と話しているのも気にせずに、無理矢理話に割り込んでいた。
「なんだ、桃」
「お前、今日あれだろ」
「今日…あ、誕生日!」
言われて漸く思い出した。
そうだ。今日はおれの誕生日だ。
「そうそうそれ、誕生日。おめでとな」
「よく知ってたな」
「オレの情報力をなめるなって」
そういって桃は自信気に笑った。
荒井も話に加わってくる。
「じゃあ、今日昼飯奢るぜ」
「お、ちなみにオレの誕生日は5日後だから」
「学食と購買どっちがいい?」
「オイ荒井、シカトかよ」
そんなやり取りに声を出して笑った。
お世辞にもいい子たちの集団じゃない。
どちらかといえば…というより明らかに、問題児の部類に入るおれ達。
そんな場所でも、友情というものは存在するわけで。
…くさいこと言うけどよ。
「ところで、桃のその情報ってどこからやってきたんだ?」
「ん?オレは昨日林から聞いて…」
「マサやーん!」
「――」
その時教室に入ってきたのは、
他でもない林本人だった。
再び言われた祝いの言葉に、おれは笑顔を向ける。
輪は更に広がって、4人での会話が始まる。
賑やかで楽しい、こいつらが好きだと思う。
祝ってくれて、覚えててくれて…サンキューな。
2−8万歳。マサやんハピバ。
2003/07/18