* Revolt *
青い空の下、今日はオレ達もボールを追っている。
「全く、色々変わったもんだよなぁ」
「例えば?」
「言うまでもねぇだろ!嫌な先輩たちは居ないし。好きなテニスは出来るし」
横に居る深司に話し掛けると、向こうは興味なさ気に聞き返してくる。
コイツだって分かってるはずだ。何が変わったかなんて。
でも考えるのが面倒臭いからオレに聞き返したりするんだ。
全部分かってるんだよ! 深司の考えることは。
それでも律儀に答えてしまう自分がたまに情けない。
「本当に、橘さんには感謝しなきゃな」
「ホント」
珍しく、深司がふっと笑顔を見せた。
…まあ、こんな性格だけどコイツもテニスが好きなはずだから。
普段は表に出さないけど、嬉しいんだろうな。うん。
今の笑顔はきっとそういうことだろう。
「もし橘さんが来なかったら…オレ達どうなってただろうな」
「本当だよ…アイツらマジムカつくんだよね…
居なくなってホント良かったよ。あー清々した」
「…仮にも向こうは先輩だってこと覚えてるんだろな」
「知らないよ…ムカつくやつはムカつくんだよ」
出た。深司のボヤキ。
これが始まってしまったらオレにはもう手出しは出来ない。
放っておくしかないな、これは。
遠くに橘さんの姿を見つけ、オレは駆け寄った。
「橘さん!早く練習始めましょう」
「そうだな。大会も近いことだし」
気付けばすぐ横に深司がいた。ボヤキも止まっている。
オレたちは少し離れた場所で話していた残りの部員の下へ向かった。
「喋ってないで、練習始めるぞ」
「橘さん!」
皆がこっちを振り返る。
全員合わせても7人しか居ないけど、大事な仲間だ。
「勝利が向こうからやってくることは有り得ないからな」
「つまり、自分で掴み取れってことですね」
「…いいから練習始めようよ」
ヤバイ、これはまた始まるぞ、と思ったところで橘さんが先頭に出た。
「さあ、ランニング開始するぞ!」
「「ハイ!!」」
今日の自分たちがあるのは、
あの日のオレたちがあったからだ。
どんなことも恐れずに立ち向かう勇気。
これからも、オレ達は反乱(レボルト)を起こし続ける。
神尾をやられ役にしてみた。(いつもだ) 『Freedom』とリンクしてます。
2003/07/17